研究課題/領域番号 |
22240066
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒澤 一 東北大学, 環境・安全推進センター, 教授 (60333788)
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研究分担者 |
長瀬 隆英 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40208004)
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キーワード | 身体非活動性 / 全身炎症 / 骨格筋収縮 / ミオカイン / IL-6 / COPD / 電気刺激 / 運動療法 |
研究概要 |
身体非活動性(physical inactivity;PI)は、種々の慢性疾患に全身性炎症をもたらし、疾患の病態を修飾しながら全身の悪化へと誘導していく。PIを解消して骨格筋収縮のトレーニングをすると、骨格筋細胞由来のミオカインが分泌され、炎症を改善させ、運動療法の効果を強化すると考えられる。この仮説を検証するため、慢性疾患患者、とくに慢性呼吸器疾患であるCOPD患者を募集し、そのサイトカインプロフィールを調べて、解析を行うことを目的とした。仙台市健康教室など行政側と連携した催事において患者を募集し、研究の参加者を募り、運動のやり方や万歩計の使い方等の指導を行った。引き続き、募集を行いデータの蓄積が必要である。 IL-6等の代表的なミオカインの細胞内シグナル伝達機構について、特にミオカイン分泌のきっかけになる刺激やその後のプロセスは不明である。分子機構の一端を明らかにするために、動物実験での実験系計画し、予備実験を行った。まだ、マウスの骨格筋が実際に分泌機構を有するかどうか、確認ができていない。 骨格筋を電気刺激した際に、運動と同じ効果が得られるかどうかは、疾患の進行抑制やリハビリテーション等を考えるうえで臨床的意義が大きい。電気刺激による骨格筋のサイトカイン産生について基礎的な検討を行うため、マウスを使って予備的に動物実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、仙台市等と協力して市民の健康教室において集めることを計画したCOPD患者の登録が予定したほど進んでいない。 サイトカインの分泌機構の解明については、これほどのエビデンスがありながら、国際的にも明らかにされていない。動物実験等を通じて、分泌のスイッチ等を探ろうとしているが、いまだにその端緒は見えていない。 電気刺激実験については、組織中のサイトカイン濃度が血中に反映されないことが判明し、それを調べるには採血ではなくて生検が必要であるが、倫理的に許容される状況ではなく、動物実験で模擬的に実施するしかない状況である。生検以外に採血でモニターできるような方法がないかを模索しつつ、動物実験を進めていくことにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、患者の登録に努力していく。患者のサイトカインのプロファイリングについては、データを蓄積していく。 骨格筋がサイトカインを分泌していく過程を、生理的な条件で解明していくとともに、呼吸器疾患の状態で違いがあるかどうかについて、焦点をしぼって実験を進める。 電気刺激実験については、サイトカインを筋組織から測定する方法をとっていく。同時に、採血でできる評価について、検討を行っていく。
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