研究課題/領域番号 |
22240066
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒澤 一 東北大学, 環境・安全推進センター, 教授 (60333788)
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研究分担者 |
長瀬 隆英 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40208004)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 身体活動性 / 全身炎症 / 骨格筋収縮 / ミオカイン / IL-6 / COPD / 電気刺激 / 運動療法 |
研究概要 |
身体非活動性(physical inactivity;PI)は、種々の慢性疾患に全身性炎症をもたらし、疾患の病態を修飾しながら全身の悪化へと誘導していく。これまで、PIを解消して骨格筋収縮のトレーニングをすると、骨格筋細胞由来のミオカインが分泌され、炎症を改善させ、運動療法の効果を強化すると考えてきた。この仮説を検証するため、慢性疾患患者、とくに慢性呼吸器疾患であるCOPD患者を募集し、そのサイトカインプロフィールを解析している。一定の傾向を見出すに至っていない。仙台市健康教室など行政側と連携した催事において参加者に身体活動の重要性を説明し、その具体的方法などについて教育を行っている。それらの具体的な効果はアンケートで自覚的な効果を得ているほかは、客観的な評価で一定の効果を得るに至っていない。 IL-6等の代表的なミオカインの細胞内シグナル伝達機構について、特にミオカイン分泌のきっかけになる刺激やその後のプロセスは不明であり、まずは生理的な分子機構の一端を明らかにするために、動物実験での実験系計画し、予備実験を行っている。血中にサイトカインが分泌される前に組織でのサイトカイン上昇があり、その機構について明らかにすべく、さらに解明を進めなくてはならない。 骨格筋の電気刺激による骨格筋のサイトカイン産生については、マウスを使って予備的に動物実験を行うこととし、測定条件等を整えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IL-6の分泌機構等について、まだ一定の結果を得るに至っていない。ヒトの実験の場合には血液中のサイトカイン濃度などで評価できるか否かがキーポイントとなるが、まだその点について明確にできていない。組織中のサイトカイン濃度と血中サイトカイン濃度の関係については明らかにできていない。 電気刺激実験について、まだヒトの実験に着手できていない。これも、血中のサイトカインで評価できるかどうかはっきりしていない理由からで、筋組織を生検するわけにもいかないため、動物実験で解明を進めたうえで、ヒトでの有効な評価方法を探る必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
IL-6を骨格筋が分泌する条件について、筋のグリコーゲンの枯渇の状況や筋線維の違いなどによっても影響があるため、一定の条件で実験することが必要であり、動物実験およびヒトでの実験に留意したい。呼吸器疾患では、筋のグリコーゲンが枯渇した状況に近いと思われ、生理的な条件で反応が低くても、そのような状況では反応が大きい可能性が考えられる。 筋の電気刺激で基礎的な条件の解明にアプローチし、COPD患者のサイトカインプロフィールの解釈に役立てられるようにしていくことが必要である。
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