研究課題/領域番号 |
22240072
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
田中 雅嗣 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (60155166)
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研究分担者 |
福 典之 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (40392526)
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キーワード | ゲノム全領域関連解析 / エクソン全領域関連解析 / ミトコンドリアゲノム多型 / 一塩基多型 / 全エクソン塩基配列解析 / 核ゲノム多型 / 瞬発系運動能力 / 陸上短距離走 |
研究概要 |
世界レベルの瞬発系運動選手の全ゲノムに存在する一塩基多型(SNPs)を対象とした網羅的な関連解析を行った。これまでに、ジャマイカの短距離選手群48人と対照群48人のDNAをIllumina社のHuman 660W-Quad BeadChipを用いて約60万個のSNPsを解析し、ジャマイカの短距離選手群8人と対照群8人ならびに米国の短距離選手群48人と対照群48人のDNAをOmini1 BeadChipで分析した。さらに288人のDNAをOmniExpressによって分析した。一方、一般集団では極めて頻度の低い多様性が世界レベルの瞬発系運動選手が有する類い稀な運動能力に関与している可能性を考慮し、次世代シークエンサーSOLiD4を用いてジャマイカの短距離選手群5人の全エクソン塩基配列を解析した。それぞれの個体で多様な塩基置換が見いだされたが、ヘテロ変異とシークエンスの過誤との判別が困難であった。このため老化促進モデルマウスの11系統の全エクソン塩基配列を解析した。その結果、ホモ変異においても、サンガー法で確認できた変異は約90%であった。SOLiD4のリード長が最大50塩基と短いために、全ゲノム領域に対してフラグメントのマッピングを行うと、予期せぬゲノム位置に貼り付けられ、変異と誤認されやすいと推定された。そこで方針を転換し、全エクソン存在するアミノ酸置換を伴う24万個の機能的多型を網羅的に解析することができるIllumina社のHumanExome BeadChipを用いて世界レベルの瞬発系運動選手のDNAを解析することとした。HumanExome BeadChipの有用性を確認するために、日本人対照群での解析に着手した。また運動選手のDNA残量が少ないので全ゲノム領域増幅を実施し、TaqMan法ならびにエクソン全領域多型解析への準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規に開発されたDNA解析技術を取り入れ、安価で効率の良い解析を選択している。
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今後の研究の推進方策 |
長期的には本研究のために次世代シークエンサーIon PGMならびにIon Protonを導入し、全エクソンあるいは全ゲノムの塩基配列解析に発展させたい。HumanExome BeadChipは全世界の12,000人の全エクソン塩基配列解析結果に基づいて設計されたチップであるので、運動能力あるいは疾患感受性に関連する機能的多型の解明に有用であり、当面、重点的に資源投資を行うべきであろう。
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