研究課題
研究の全体像としては、近現代日本の医療が、どのような歴史的重層の上にたち、同時代の影響を受けながら形成されたかを明らかにすることを狙った。より具体的には、近代の日本において、疾病と医療者と患者という三つの要素からなる「医療の三角形」が、環境と社会の変化に応じてどのように転換したのかを明らかにすることである。また、その転換において、転換前に存在した三角形の構造がどのように転換後に残存したかということを明らかにして「歴史の重層」を解明することでもある。そのために、以下の主題についての研究がおこなわれた。1)日本の公衆衛生の形成において、〈同時代の〉疾病の問題の影響と並んで、〈過去の〉流行病の経験と、それによって形成されてきた過去の構造は、どのような役割を果たしたか。2)公衆衛生の一つの重要な柱として、日本の医学は多くの予防接種を行ってきたが、これらは、どのような経験の蓄積に基づいて意思決定されてきたのか。3)ハンセン病や精神病など、古くから存在して強いスティグマが発生し、それが治療とケアの構造形成に大きな影響を与えてきた疾病は、どのようにして「近代的な」構造の中に移されたのか。4)日本による植民地医学は、帝国主義の枠組みの中で、現地の医療の構造に影響を与えた。それらは、植民地の状況と日本の原型が交渉して成立したものであるが、これらの日本の原型は、各国にどのような影響を与えたか。5)患者の医療行動は、世帯や地域の共同体によってどのように形成されたか。世帯や地域に変化をもたらした政治的社会的変化は、どのように患者の受療行動に影響を与えたか。
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