研究課題/領域番号 |
22240081
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 晃仁 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80296730)
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研究分担者 |
脇村 孝平 大阪市立大学, 経済学研究科, 教授 (30230931)
橋本 明 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (40208442)
飯島 渉 青山学院大学, 文学部, 教授 (70221744)
杉田 米行 大阪大学, 言語文化研究科, 准教授 (00216318)
廣川 和花 大阪大学, 適塾記念センター, 准教授 (10513096)
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キーワード | 医学史 |
研究概要 |
2011年度には、7月9日・10日に東京・清瀬のハンセン病資料館において、共同研究のチーム全体での報告会を行った。前年度の報告会は、実質上は共同研究のメンバーにクローズドのかたちで行ったが、この報告会においては、共同研究の成果と活動を外に開く試みも行い、多数の外部の研究者や大学院生などの参加も得ることができた。 報告会の内容は、赤痢やインフルエンザの急性感染症の疫学、朝鮮を対象とした植民地医学の社会史、精神疾患とハンセン病という隔離収容の対象となった疾患の患者資料を用いる手法など、個別の論点についての報告とディスカッションが行われた。これらは、身体環境の歴史の解明、政治的・文化的な文脈の解明、そして患者による医療と病気の経験の解明という、この共同研究の三つの柱に対応した主題の設定になっている。さらに、プロジェクト全体の理論的な支柱を検討するために、医療職の構造と近代国家・近代社会の関係についての報告とディスカッションが行われた。これらの理論的な枠組みを通じて、疾病の身体環境と、患者が経験するものとしての病気の意味と、疾病-患者の複合体を取り扱う医療職という複合体が、どのようにして近代の日本とその帝国の中で形成されたのかということを総合的に扱うことを目標にした共同研究のコンセプトを明確にした。 この報告会から得られた洞察を生かす形で、個々の研究者は、それぞれの研究の脈絡での国内と海外の発表を行った。場合によっては、研究グループから複数の研究者が参加する学会やワークショップなどもあり、グループ内での研究の視点の共有や交換の場となることもあった。 以上、2011年度には、個々の研究者の主体的な研究を生かしながら、共同研究のコンセプトを明確にして共有する活動が行われ、添付の業績一覧からもわかるように、きわめて多産な研究成果を生み出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
報告会には在外研究中の研究者を除いて、ほとんどの研究者が参加しただけでなく、多数の外部研究者も参加し、研究上の交流と視点の共有が行われた。共同研究者の業績は、書籍が5点、論文が7点、学会発表などが37点、公開データベースが1点と、数的に言っても十分な成果がすでに上がっている。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度の共同研究の核は、12月13-15日に予定されている、合計で3日間の国際会議の開催となる。これは、公開で行って、共同研究のメンバー全員が研究の成果を報告する場であると同時に、海外からの研究者の招聘・参加を得て、研究の成果を国際的に発表する機会となる。現在、すでに共同研究の外部からの国内・海外からの報告の申し込みを多数得ており、学際性と並んでこの共同研究のもう一つの目標であった国際性を実現することができるだろう。
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