研究課題/領域番号 |
22240083
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
松井 章 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, センター長 (20157225)
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研究分担者 |
石黒 直隆 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00109521)
南川 雅男 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (10250507)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
山田 仁史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (90422071)
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キーワード | 家畜 / 動物考古学 / DNA / 安定同位体 / 食性分析 |
研究概要 |
今年度は11月2日から11日まで、ラオス北部の山岳少数民族、タイルー族、モン族、カム族の村に入り、彼らの動物利用と焼畑などの生業活動について現地調査を行った。今年度の重点課題は、ブタ、ニワトリ、イヌと、野生イノシシ、セキショクヤケイ、その他の野生動物との関係を、焼畑や集落周囲の畑、放牧地において観察することで、その目的は十分に達成した。 3月14日から24日まで、カリフォルニア大学バークレー校、ネブラスカ大学リンカーン校を訪問し、先住民文化とその生業活動について調査をおこなった。ネブラスカ大学では、プラット川河畔の戦跡考古学の調査に参加し、植民地時代のスペインとフランス、そして彼らに雇われた先住民の戦場の探査を実施し、日本に適応する可能性を探った。 国内の調査では、長野県千曲市所在の屋代遺跡の土壌分析の成果を長野県立歴史館の水沢教子らと『長野県立歴史館紀要』に報告し、特定の掘立柱建物に付属する炉と周囲の焼土から、大量のサケ・マス類の椎骨破片、遊離歯を検出し、北米北西海岸先史文化に見られるスモークハウスの機能をもった遺構であることを明らかにした。 魚類化石の専門家、大江文雄氏と共に研究を行い、長い間不明であった、岡山市彦崎貝塚の縄文前期から中期にかけての貝層から出土した特異な形状の魚骨が、現在、台湾からマレーシア、オーストラリア近海にかけて生息するトウカイハマギギ(学名)であったことを明らかにし、縄文海進期の海域の温暖化を証明した。その成果は、2011年の文化財科学会で発表予定である。 愛知県で開催された生物多様性会議の学術ワークショップでは「Bio-diversity and Concentration of Particular Resources during the Jomon Period, Japan」の題名において、これまで、松井を代表として採択されてきた科研の成果を盛り込んだ発表を行った。
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