研究分担者 |
鈴木 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (60344199)
横山 祐典 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (10359648)
後藤 和久 千薬工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (10376543)
堀 信行 奈良大学, 文学部, 教授 (40087143)
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研究概要 |
本研究では,まず,サンゴ礁を防災構造として評価する際に重要となる礁縁部から上部礁斜面の波浪を減衰する地形について,詳細かつ正確な測量システムを構築することを目指した。このため,平成22年11月に東陽テクニカ(株)ワイドバンドマルチビーム測深機R2sonic2022を,日本の大学としては初めて岡山大学に導入した。R2sonic2022は,周波数(200~400kHz)とスワッス幅10~160°を任意に設定可能な最新のマルチビーム測深機であり,幅1°の分解能をもつ256本のビームを同時に海底に照射する。測深にはR2Sonic2022本体と周辺センサ(GPS,モーションセンサ等)を組み合わせたシステムを構築し,鉛直方向の精度5~10cmでの測深を可能とした。琉球列島久米島南部で行った試験運用結果はきわめて良好であり,0.1~1mメッシュ水深での高解像度マッピングが可能であった。これによってサンゴ礁海域における詳細な地形学的議論が可能となった。 また,平成22年10月にはリガク製デスクトップX線回折装置MiniFlexIIを岡山大学に導入した。従来から使用している走査型電子顕微鏡装置(JEOL JSM-6390LV)およびエネルギー分散型X線分析装置(JEOL JED-2300)と併用することによって,サンゴ礁の岩石試料が組成と構造両面から分析可能となった。本研究ではこれらを用いて,サンゴ礁の地盤崩壊が発生しているモルディブ共和国マーレ島のボーリングコアの分析を行った。 さらに,国際研究プロジェクト「IODP(統合国際深海掘削計画)Expedition 325 : Great Barrier Reef Environmental Change」の試料記載と分配が平成22年7月にドイツ・ブレーメン大学で行われた。これには世界各国より28名の研究者が参加したが,本研究組織よりプロジェクトリーダーの横山祐介氏と鈴木淳氏,菅浩伸が参加した。ここでは最終氷期最盛期とそれ以降の海面上昇過程におけるサンゴ礁形成を議諭するために重要な,水深100m前後より採取されたコア試料142点を持ち帰り,走査型電子顕微鏡およびX線回折装置を用いた分析を行っている。 以上のように,本年度は研究システムの構築に全力を注ぎ,次年度以降の調査体制・分析体制が整った。
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