研究分担者 |
長尾 正之 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (70251626)
鈴木 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, グループ長 (60344199)
後藤 和久 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (10376543)
堀 信行 奈良大学, 文学部, 教授 (40087143)
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研究概要 |
サンゴ礁の礁縁部から礁斜面は暴浪時の波浪を減衰するのに効果的な地形である。しかし,浅海域の地形を可視化することは難しく,地形の広がりについて議論されることは世界的にも極めて少ない。本研究ではこれまでにワイドバンドマルチビーム測深機を用いた三次元地形測量を行い,浅海域の地形について1mメッシュの詳細地形図を作成するシステムとノウハウを構築してきた。23年度は,7月に久米島,8月に石垣島・石西礁の礁斜面を対象としたマルチビーム測深を行った。23年度後半には,ソフトウェア(HYPACK)上で測深結果のノイズ除去を綿密に行い,Fledermausでの図化作業を,一部の測深海域について行った。また,作成した海底の精密三次元図について,現地で潜水調査を行って検証した。これらの海域で浅海域の地形が可視化されるのは初めてであるため,本研究の測深過程で石垣島名蔵湾において日本最大級の大規模な沈水カルスト地形を発見することにもつながった(3月16日記者発表,17日琉球新報等の新聞記事・Yahooトップトピックスに掲載)。 また,沿岸域で消波構造をつくる礁構造や環礁国で国土を支えるサンゴ礁構造について,ボーリングコア等を基にした解析を進めている。モルディブ共和国マーレ島では,未固結堆積物が多くを占める礁構造の上に国土が成立している様子が明らかになってきた。琉球列島では礁縁部で,マリンセメントによる強固な構造が形成される場合が多くみられる。 さらに,最終氷期最盛期とそれ以降の海面上昇過程におけるサンゴ礁環境の変化を議論するため,IODP(統合国際深海掘削計画)Expedition325 : Great Barrier Reef Environmental Changeで水深100m前後より採取されたコア試料の分析を進めている。
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