研究概要 |
(1)宿主の免疫抑制系を解除するGITRやOX40に対するアゴニスト抗体あるいはCTLA-4やPD-1に対する阻害抗体とtrimAbの組み合わせを4T1乳がん移植モデル及びMCA発癌モデルに投与し、以下の結果を得た。(1)GITRあるいはOX40刺激またはPD-1阻害は、trimAbによって誘導される所属リンパ節細胞の4T1特異的なIFN-γ産生やCTL活性を増強したが、trimAbの抗腫瘍効果を増強しなかった。(2)逆に、CTLA-4阻害は、trimAbによって誘導される所属リンパ節細胞の4T1特異的なIFN-γ産生やCTL活性を増強しなかったが、trimAbの抗腫瘍効果を増強した。(3)CTLA-4阻害は、MCA発癌モデルにおいてもtrimAbの抗腫瘍効果を増強し、Tregを含むCD4 T細胞を除去してもこの増強は認められた。(4)trimAb単独あるいはtrimAb+抗CTLA-4奏功例においては、腫瘍内のFoxP3陽性CD4 T細胞(Treg)及びGr-1陽性CD11b陽性myeloid-derived suppressor cells(MDSC)の減少とCD8 T細胞の増加が認められた。以上の結果から、抗CTLA-4抗体は、腫瘍局所でのCD8 T細胞の増殖と機能を亢進することによってtrimAbの抗腫瘍効果を増強すると考えられ、抗ヒトCTLA-4抗体(ipilimumab)の有用性が示唆された。(2)マウスCD27に対するアゴニスト抗体を樹立し、EG7白血病あるいはB16-OVAマラノーマ担癌マウスにおいて、抗CD137抗体に匹敵する強い抗腫瘍効果が得られ、主にCD8陽性CTL誘導の増強によることを示した。(3)マウスNotch2に対するアゴニスト抗体を樹立し、EG7担癌マウスにおいてCTL誘導による強い抗腫瘍効果が得られることを示した。(4)OVA, TRP-1あるいはgp100レンチウィルスを用いたワクチン系で誘導された抗原特異的CTLは、腫瘍内ではPD-1の高発現によって不活化されており、PD-1あるいはPD-L1に対する阻害抗体の投与で回復し、強い抗腫瘍効果が得られることを示した。(5)B16メラノーマに対するFvax系で、PD-1とCTLA-4に対する阻害抗体の組み合わせが相乗的に抗腫瘍効果を増強することを示した。
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