研究課題
我々は、39系のがん細胞株(JFCR39)に基づく化合物の標的予測システムCancer Cell Informatics(CCI)を拡充して分子標的薬創薬へ応用することを目的とし、以下の研究成果を得た。1)リファレンスとして、承認済み・臨床試験中の分子標的抗がん剤を中心に約40化合物に対するJFCR39増殖阻害スペクトル(フィンガープリント)を測定し、データベースに追加した。2)JFCR39についてのオミクス情報として、アポトーシス関連分子、細胞接着関連分子、シグナル伝達分子などを中心に約80種類のタンパク質発現情報をウェスタンブロットによって調べ、データベースに追加した。3)本研究では、蛋白質間相互作用の阻害剤としてArf1-GEF相互作用およびRac1-GEF相互作用の阻害剤を探索する。今年度は、既知のArf1-GEF阻害剤Brefeldin A(BEA)をリファレンスとして、BFAとは化学構造が全く異なる新規Arf1-GEF阻害剤AMF-26を見出した。本剤はCCIの予測どおり、がん細胞のArf1の活性化を阻害し、ゴルジ体を破壊し、小胞輸送および細胞増殖を阻害することが明らかになった。さらに注目すべき効果として、本剤はマウスゼノグラフトモデルにおいて、経口投与によりヒト乳がん(BSY-1)を完全に退縮させた。([雑誌論文ohashi et al.J.Biol.Chem.2012)一方、投薬による顕著なマウスの体重減少は認められなかった。以上の結果から、本剤はArf1活性化を阻害する有望な抗がん剤シード化合物であると期待される。4)JFCR39のうち、ヌードマウス皮下に移植可能な24細胞株について、移植腫瘍片(ゼノグラフト)におけるin vivoタンパク質発現を効率的に測定するために、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)を用いて組織マイクロアレイを作成した。
1: 当初の計画以上に進展している
39系のがん細胞株(JFCR39)に基づく化合物の標的予測システムCancer Cell Informatics(CCI)を、概ね順調に拡充している。分子標的薬創薬へ応用として、当初の計画通り新規ARF1-GEF阻害剤をCCIにより見出し、本剤が予測どおりの活性を有することを証明した。さらに予定を前倒しして、本剤がマウスin vivo抗腫瘍性を示す有望な抗がん剤シード化合物であることを明らかにした。
当初の計画通り、39系のがん細胞株(JFCR39)に基づく化合物の標的予測システムCancer Cell Informatics(CCI)を拡充し、分子標的薬創薬へ応用することを目的として研究を遂行する。
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