研究課題/領域番号 |
22241005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
幸島 司郎 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (60183802)
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研究分担者 |
牛田 一成 京都府立大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50183017)
白岩 孝行 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (90235739)
吉村 義隆 玉川大学, 農学部・生命化学科, 教授 (90384718)
本郷 裕一 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (90392117)
竹内 望 千葉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30353452)
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キーワード | 氷河 / 微生物 / アルベド / 氷床 / 藻類 / バクテリア / リモートセンシング / 極限環境 |
研究概要 |
主な一次生産者が赤い色素をもつ単細胞緑藻類であり、夏期には表面がピンク色に染まる「ピンクの氷河」における、氷河上の微生物活動によるアルベド改変プロセスを理解することを目的に、アラスカ太平洋沿岸にあるバイロン氷河とハーディング氷原、および内陸部のアラスカ山脈にあるグルカナ氷河で、氷河生態系に関する調査を行った(幸島、竹内、本郷)。最も氷河表面の融解が盛んな7-8月に氷河上の汚れ物質量、微生物相、微生物量、とクリオコナイトホールなどの表面構造およびアルベドとの関係を分析するための測定と試料収集を行った。同時に、この地域の氷河に生息する耐低温性動物であるコオリミミズの試料を採取し、コオリミミズの腸内や体表に生息する微生物相を遺伝子解析によって分析した(幸島、本郷)。分析の結果、好冷菌や耐冷菌として知られている細菌や、それに近縁な細菌が数多く確認された。また、微生物活動によるアルベド低下が大きい「黒い氷河」であり、氷河表面のアルベドと微生物相のモニタリングを継続している中国・天山山脈のNo.1氷河でも、現地調査と試料採取を行った(竹内)。さらに、微生物活動によるアルベド低下が最も低い「白い氷河」である、パタゴニア北氷原(チリ共和国)にあるサンラファエル氷河でも、南半球の融解期である2011年の3月に、現地調査と微生物試料採取を行った(幸島)。現在、これまでに採取した微生物試料から、アルベド改変に関わっていると考えられる雪氷藻類やバクテリア、菌類などの遺伝子解析(牛田、本郷)や分離・培養(吉村)を進めるとともに、クリオコナイトホールなどの氷河表面構造の形成モデル構築(藤田)やリモートセンシングによる氷河微生物分布分析法の開発(竹内)を進めている。
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