研究課題
本年度は、主にチリ中部火山群の白い氷河,ブータン・ヒマラヤおよび南米コロンビアの黒い氷河において現地調査を行い、氷河生態系、特に微生物活動と氷河の表面構造やアルベドの関係に関する観測と試料採取を行なった。白い氷河の調査は、2013年4月にチリ共和国中部にあるモチョ火山氷河において微生物相の高度変化分析用サンプル採取など、氷河生態系に関する観測を行なった。この氷河はバルディビアにあるチリ科学研究センターによって継続的に質量収支などの観測が行われており、近年急速に後退している。涵養域に赤雪が観察され、トビムシなどの氷河昆虫が生息することが明らかになった。黒い氷河の調査は、2013年10月にブータン・ヒマラヤのカンジャラ氷河および、2014年3月にコロンビア共和国・サンタイザベル山群にあるコメヘラス氷河で行った。カンジャラ氷河では、近年の急速な後退と雪氷微生物の変化が確認された。コメヘラス氷河はコロンビア水文大気研究所によって継続的に質量収支などの観測が行われており、近年急速に後退していることが報告されている。コメヘラス氷河は既に全域が消耗域となっており、表面が赤黒い汚れに覆われていた。この汚れは従来、火山灰であると考えられてきたが、分析の結果、大量の緑藻類が含まれることが明らかになった。また、これまでに報告の無い雪氷藻類が含まれていることがわかった。現在、以上の調査地で採取した氷河生物サンプル、およびこれまでの調査で採取したサンプルの微生物相解析や遺伝子解析を行っている。同時に、観測データや衛星画像を解析することによって、微生物活動によるアルベド改変モデルの構築、リモートセンシングによる氷河上の汚れや微生物分布解析法の開発を進めている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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