研究課題/領域番号 |
22241008
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
PATRA Prabir 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (70392967)
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研究分担者 |
石島 健太郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (90399494)
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キーワード | TCCON / ACTMモデル / 二酸化炭素 / メタン / 一酸化二窒素 / メタンタグ付き計算 / 南アジア炭素収支 |
研究概要 |
「地上設置型フーリエ変換スペクトロメーターのネットワーク(TCCON)とモデル計算の比較」TCCONによる二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)のトータルカラム測定データと我々のモデル(ACTM)の計算値の比較を行った。ACTMは非常によくTCCONの観測値を再現し、モデル構築が問題なく進められていることが示された。一方でCH4は地表熱帯域のフラックスやOHラジカルによる消失量の不確定性等が存在することも示された。 「ACTMによるメタン放出源に関するタグ付き計算と航空機観測を用いた解析」ドイツのMaxPlanck研究所の主導で行われているCARIBIC航空機観測の研究者を招聘し、我々のACTMによるメタン放出源を世界18の領域に区切り、そこから出てくるメタンをトレースすることにより、観測データと比較して大気中濃度変動に対して影響の大きい放出域を考察するという解析を行った。全球的にモデルによる再現性は良かったが、アフリカ上空でモデルの放出量が過小評価の可能性があることが分かった。 「南アジアにおける炭素収支の推定」トップダウン法(大気観測データを用いたインバースモデリング)とボトムアップ法(現地フラックス観測、衛星観測、陸域生態系モデル)の両手法を利用して、南アジア域(バングラデシュ、ブータン、インド、ネパール、パキスタンおよびスリランカ)における二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)の放出量と吸収量を推定した。それら結果を総合すると、2000年代には南アジアから37 ± 3.7 Tg-C/yrが放出されていたと推定された。CH4を地球温暖化係数で重み付けしてCO2換算したトータルの炭素放出量としては1148 Tg-C/yrとなり、メタン排出の削減が温室効果ガス濃度の削減において極めて効果的であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TCCONとの比較ではこれまで例がないN2Oの比較を行い非常に良い結果を得た。 またCARIBIC航空機観測を用いた解析では、世界で初めてアフリカ上空でメタン放出量の情報を捉え論文としても報告した。これは本分野において極めて貴重な情報を提供するものと考えられる。 南アジアにおけるトップダウンおよびボトムアップ手法による炭素収支推定値を統合し、概算を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
メタンや一酸化二窒素等の全球循環や収支推定の精度を高めるため、大気化学と地表フラックス変動のプロセスレベルにおける理解を目的としたモデル解析を行なってゆく。
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