研究課題/領域番号 |
22241010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森本 幸裕 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (40141501)
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研究分担者 |
浅枝 隆 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40134332)
夏原 由博 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (20270762)
井鷺 裕司 京都大学, 農学研究科, 教授 (50325130)
鎌田 麿人 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40304547)
伊東 啓太郎 九州工業大学, 工学(系)研究科, 准教授 (10315161)
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キーワード | 生物多様性 / 都市緑化 / 生物多様性指標 / 生物多様性条約 / ハビタット評価 / シンガポール指標 / 都市化 |
研究概要 |
生物分布から見た指標に関しては、まず日本の多くの都市が氾濫原に位置することに鑑み、氾濫原由来の生物の残存状況を博物館所蔵の植物標本や文献資料から変遷を明らかにしようとした。政令指定都市の土地利用と絶滅危惧種の分布についてまとめ、大都市に残された自然と再生すべき生態系の特徴を明らかにし、生物分布現況評価モデルを試作した。 ハビタットのポテンシャルに関しては、日本全域を対象に、水辺植物の生育地評価モデルを作成し、都市の発展による消失程度を評価する手法を構築した。衛星データ等を利用して、河川の河岸や砂州における緑被率、外来種率や絶滅危惧種の割合が、都市近郊の河川と他地域の河川で異なることを明らかにした。都市の緑地分断化が植物に与える遺伝的影響を評価のために、衛星データ等から緑地を抽出し、孤立度と先行研究で明らかになっているタチツボスミレのアレリックリッチネスとの相関を解析した。 社会指標等に関しては、都市内で自然再生を目的として設計した水辺・緑地空間を対象として、植物種、動物種と子どもの遊びの関連を通して文化的サービスを解析中である。また、日本の政令指定都市をシンガポール指標の枠組みで試行評価し、指標の意義と課題を抽出した。さらに里山等の地域資源を、地域住民主導で管理していくための人的ネットワークの構造、及びそれらの構築プロセスを大阪、徳島、北広島等で、その評価手法について検討した。 これらの成果をIALE北京大会で都市の生物多様性セッションを企画して発表し、さらにURBIO代表を我が国に招いて研究集会を開催した。さらにシンガポール指標を試行評価した、モンペリエ、ブリュッセル、シンガポールでその実態をヒアリングするとともに、コケ植物による評価の可能性の予備調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年に一度の国際学会大会であるIALEでひとつのセッションを研究代表者が企画運営し、5名の分担者と研究協力者を含む12題の発表を組織できる程度の成果がおさめられた。
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今後の研究の推進方策 |
やや多様な個々の研究の相互連携を計り、実効性のあるものとするために、研究集会を開催し、都市の生物多様性の指標の整理を行うとともに、生物多様性が生態系サービスの質と量におよぼす効果を検証する方法を検討する。また、広く成果を普及するための出版も行う。
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