抗菌剤とほかの化学物質の共存下での薬剤耐性菌の応答を明らかにした.1)特定の金属存在下で薬剤耐性遺伝子の水平伝播が促進されることが明らかになった.2)その促進の有無は遺伝子の供与菌種と受容菌種の組み合わせなどで異なったことから,環境由来日和見感染菌の耐性獲得リスクはケースバイケースであることが示唆された.3)海水中のyet-to-be cultured細菌群集が耐性遺伝子のリザーバになっていることを初めて明らかにした.4)薬剤汚染がほとんどない環境でも耐性遺伝子は残存する実態が明らかになった.今後は環境の耐性遺伝子の人間環境への侵入ルート,そのリスクを明らかにする必要がある.
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