研究課題/領域番号 |
22241023
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 孝夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00174798)
|
研究分担者 |
堀 史説 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20275291)
仁谷 浩明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (20554603)
水越 克彰 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60342523)
中川 貴 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70273589)
秋田 知樹 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (80356344)
清野 智史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90432517)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | ナノ粒子 / 白金 / 放射線 / 触媒 / 燃料電池 |
研究概要 |
電子線照射合成にダイナミトロン型加速器からの電子線(4.8MeV, 10mA)を使用し、高線量率で酸化還元電位が離れた異金属でランダム構造の創製を狙った。低線量率のCo60 γ線も併用し線量率効果も調べた。pH調整や錯化剤(酒石酸・クエン酸等)の添加による、構造と粒径の制御の可能性をPtRu系やPtSn系で追求した。複数の市販炭素粉末を用いて電極触媒特性への影響を調べた。PtRu/C試料創製後の熱処理による合金化の促進、水素含有還元雰囲気中での熱処理を試み、触媒表面の酸化状態や内部構造の制御性を確認した。価数揺動性を持つCeO2を担体としてPtCu系のCO選択酸化特質を調べた。 Spring8とPF(KEK)でXAFS測定を行った。特製セルによるInSitu測定の高度化を試みた。PF-ARの白色X線を用いての還元粒子生成の実験、DXAFS法による還元反応進行中のXANESその場測定、という二つの先駆的な実験の可能性を確認した。電顕観察では、分析TEMによる担体・金属触媒界面の観察、バイメタリック構造観察を試みた。CO選択酸化触媒の解析には、拡散反射FTIR解析、熱脱着スペクトル測定などにより表面に露出したPtの様子を探った。結果としてPtCuバイメタルだけでなく、CuOも同時析出し触媒特性に好影響を与えているという新発見があった。 電極触媒の応用面としては、DMFCやDEFCの電極触媒(陽極、陰極ともに)を対象にリニアスイープボルタンメトリ、サイクリックボルタンメトリにより評価を行い、触媒材料のバイメタル構造の評価結果との相関を研究した。CO選択酸化触媒の応用面では、常圧固定床流通式反応器を用いて、酸素添加量や水蒸気添加量をパラメータとした特性の測定を行い、触媒材料のバイメタル構造・CuO共存構造などの材料評価結果との相関を研究する段階に至った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としていた、「Pt等の貴金属や遷移金属を二種以上含む多元系金属ナノ粒子を、電子線・超音波を利用し炭素やセラミックスの上に還元析出させ、担持型の複合ナノ粒子を合成し、ランダム合金からコアシェル型に至る途中を含めた多様な構造に変化させ、その粒子の触媒活性との関係を実験的に明らかにする」という目的は、多くの側面で着手し新たな知見を得ることができている。試作した多くの材料の触媒活性を実測評価して、材料の内部構造、特にバイメタル構造と活性との相関に研究のスタイルがほぼ確立した。省Pt・低コストの粒子系触媒の材料設計指針のための知見は、並行した産学連携プロジェクトでの成果と併せて積み重なった。PtRu/Cでは実用製法として触媒製造販売企業に提案し材料評価を受ける段階に至っている。
|
今後の研究の推進方策 |
本方法で創製された特徴あるバイメタル触媒材料の構造と、それが発現する機能の相関についての新たな知見が積み重ねられてきた。最終年度に向けてこれらをさらに深く追求することは勿論である。良い触媒材料が本方法により創製される特徴あるバイメタル構造(CuOの共存という多相構造を含め)に起因するということが、確認されつつある。従って、次のステップとして、放射線を利用する本方法の特殊性と得られる構造との相関、換言すれば、放射線法によって好ましい複合構造が産まれるメカニズムを追求し、材料相性プロセス条件に反映させれば、高性能・低コストな新たな触媒材料やその製法の確立に繋がるはずである。この次ステップの突破口となるような発見を目指す。
|