研究課題
シリコン量子情報処理に関する物性・量子物理学研究を実施した。まず、安定同位体純度を99.999%以上に高めた28Si単結晶を作製し、同位体起因の質量・核スピンの空間的不均一分布が徹底的に排除された疑似真空状態を実現した。そこにリン不純物を系統的に添加し、1)電子および核スピンデコヒーレンスの機構解明と抑制方法の開発、2)電子・核スピンの高純度エンタングルメント生成と検出に関する実験に成功した。上記成果は1)をPhysical Review B誌、2)をNature誌に発表した。主要実験手法はパルス電子磁気共鳴、パルス電子磁気二重共鳴(EMDOR)、フォトルミネッセンス励起分光(PLE)であった。また、シリコン中のリン電子スピンと核スピンの状態を電気伝導度の変化で読み出す新しい高感度電子磁気共鳴測定法の開発にも成功した。試料に電極を作製し、そこに一定周波数のマイクロ波を照射しながら磁場を挿引する新しいコンセプトで実験に成功し、その成果をApplied Physics Express誌に発表した。また、核スピンと質量分布を制御したシリコン同位体ヘテロ構造の作製に向けた分子線エピタキシー成長と評価法の開発も行った。特に原子レベルの分解能でヘテロ構造を評価できるアトムプローブ法に着目し、その発展をJournal of Applied Physics誌とApplied Physics Letters誌に発表した。
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Nature
巻: 470 ページ: 69-72
10.1038/nature09696
J.Appl.Phys.
巻: 109 ページ: 036102
Applied Physics Express
巻: 4 ページ: 021302
Appl.Phys.Lett.
巻: 98 ページ: 013111
Phys.Rev.B
巻: 82 ページ: 121201
http://www.appi.keio.ac.jp/Itoh_group/publications/