研究課題
今年度は昨年度に論文発表したシリコン中のビスマス(Bi)ドナー量子ビットの電子スピン共鳴(量子操作)に関する詳細を調べた。シリコン基板にイオン注入されたビスマスドナーの電子スピン共鳴を60mT以下の低磁場で実現したが、ここで共鳴線の形状が横軸磁場に対して左右非対称になることを発見し、この効果は、ビスマス量子のスピン状態読み出しに用いている再結合中心(欠陥)との相互作用によることを定量的に示した。また、外部からの印加磁場を一定に保ちながら、励起電磁波の周波数を変化させることで、所望の量子遷移を選択し、その結果として量子計算や量子通信に必要な量子初期状態を得て、その後に任意の量子操作を実行する手法の展開を行い、ビスマス量子ビットと超伝導量子ビットとの結合に関する理論的な考察を実施した。さらに、同位体制御されたシリコン中のリン(P)ドナーの核スピン共鳴を実施し、その核磁気共鳴線が最近接の4つのシリコン安定同位体の平均質量によって分裂し、これら分裂したピークの位置が、バルク全体で考えたシリコン安定同位体の平均質量に対して線形的にシフトすることを見出した。リン核スピンを量子ビットに用いる場合には、周りのシリコン同位体を一種類の質量に統一することの重要性を示した結果である。また、あえて最近接シリコンの同位体分布を制御することから、同じ31P核磁気共鳴であっても比較的自由に共鳴周波数が変化させられることを示した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Appl.Phys.Lett.
巻: 103 ページ: 111601
10.1063/1.4820824