金・銀ナノ粒子と有機薄膜を組み合わせた光電変換素子の作製をいくつかの方法で継続して進めるとともに、光電変換特性の評価と二極式電池についても検討し、以下のような成果を得た。 (1)ナノスフェアによる検討(山田、連携研究者:米村、高橋)金・銀ナノスフェアを静電吸着法で電極上に固定し、ポリチオフェン薄膜を電解重合法やスピンコート法で形成させた構造の光電変換素子を構築した。分光照射装置を購入し、太陽電池特性評価を集中的に推進できるように整備した。電解重合法では、電気化学的に強靭な金ナノ粒子から開始した。金ナノ粒子の吸着量を変えた光電変換素子について検討した結果、金ナノ粒子密度が10-20%で光電流特性が最適となることが明らかとなった。銀ナノスフェアについてはスピンコート法で光電変換薄膜を作製し、膜厚と光電流特性について検討したところ、膜厚が100nm程度が最適であることを明らかにした。また、銀ナノ粒子の表面をチオール分子で保護すると、銀ナノ粒子の溶解が阻害され、安定な光電流とともに増強効果が認められた。規則的なシリカ微粒子アレイ上に周期的な金ナノ構造を蒸着法で作製した素子についても検討し、プラズモン分光特性に相応した光電流挙動を確認した。ポリチオフェン-フラーレン混合色素薄膜について二極式太陽電池を作製し、銀ナノ粒子による性能向上を確認した。 (2)非球状ナノ粒子での検討(山田、連携研究者:高橋、特別研究員)近赤外域に強い吸収をもつ金ナノロッドを基板に吸着させた後、スプレーパイロリシス法により酸化チタン層を付着させることにより、300℃においても形状を保持させることに成功した。一方では、立方体形状の銀ナノキューブをとポリチオフェン-フラーレン混合色素からなる薄膜太陽電池の構成に成功した。銀ナノスフェアの場合と比較して性能の向上が認められた。
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