研究分担者 |
木幡 稔 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (30186720)
柳川 博文 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (70296309)
矢野 博夫 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (70114692)
佐藤 史明 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50286150)
飯田 一博 千葉工業大学, 工学部, 教授 (60458627)
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研究概要 |
平成23年度についても下記に示す5つの分担課題を設けて相互に連携をとりながら研究を進めた. 1.音声合成:話速やポーズ長を制御することで,残響下でも聞き取りやすくなる結果が得られた.音声素片に付与された音素ラベルを利用して,特定の音素に振幅抑圧処理を行う方法を提案し,主観評価実験により音声が聞き取りやすいという結果が得られた.残響特性を表すインパルス応答を与えて聞き取りやすい合成音声を生成するシステムを考案し,国内特許出願(特願2012-053799)を行った. 2.サイン音設計:各種空間で使用されているサイン音を収集・分析し,音響的特徴を見出した.信号の無音区間と波形オンセットの鋭さが残響下の音像定位に寄与することを明らかにした. 3.電気音響システム:トンネル内の非常放送設備の明瞭性に関して,換気設備から発生する騒音がアナウンス音の聴取に与える影響について聴感実験を行った.スピーカアレイによる指向性音源を試作し,指向性と主軸の方向制御について検討を行った.残響時間3.15s,容積164m3の残響室で小型ブックシェルフスピーカと比較したところ,アレイスピーカの方が聞き取りやすいことを明らかにした. 4.音環境・伝搬系:公共空間19カ所において,拡声放送および環境音の録音と建築条件についての調査を行った.収集したアナウンス音について音圧レベルとスペクトルの分析を行い,聞き取りにくさに関する聴感実験を実施した.防災放送等の明瞭性改善を目的として,屋外音場のシミュレーション手法や模型実験手法に関する検討,高精度な音場シミュレーションのための頭部伝達関数の個人適応に関する検討,さらには屋外音場におけるエコータイムパターンの測定方法に関する検討を行った. 5.聴覚・認識:騒音および音声の到来方向の知識が騒音下での単語明瞭度に与える影響や非常放送文の文構造が文理解に与える影響について検討を行った.歩行中に提示される視覚情報と聴覚情報に基づく方向判断において,情報の一致・不一致が反応時間や誤反応に与える影響について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時の研究目的では,音の情報性に着目し,音声工学,聴覚生理・心理学,環境音響工学,電気音響・ディジタル信号処理工学などの音響関連諸分野を統合して都市空間における安全性確保に関して研究することを挙げているが,これまでの2年間に各研究分担者が5グループに分かれてそれぞれの課題を設けて相互に連携をとりながら研究を進めた.それらの成果は,関連学会への発表として雑誌論文1件,学会発表26件,および特許出願1件などからおおむね順調に進展していると評価できる.
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