研究概要 |
仙台平野を中心として津波堆積物とその直上の火山灰(十和田(A.D.915年))層の分布を面的に調べ,従来の10倍程度のデータ密度を想定した高解像度の堆積物・地盤データを得た.特に,仙台平野を対象としてハンディジオスライサーを用いて行った.その結果,沿岸での距離に対する堆積層の位置と分布深さ,浜堤などの地形特性との関連性を整理することが出来た.これらは,当時の津波を復元する資料となる.また,沖縄県,宮古諸島および石垣諸島において,津波で打ち上がったサンゴ化石(津波石)の分布調査および地形測量を行った.特に,多良間島や水納島では,陸上でも数メートル大のハマサンゴ岩塊が見つかることがわかり,年代測定の結果,これらの岩塊は1771年明和津波起源であることがわかった.また,宮古島などで明和津波の遡上高に関する聞き取り調査を行った.西表島では,マングローブ林で津波堆積物の有無を調査し,多くの離水マングローブ堆積物が存在することを明らかにした.この堆積物は,C-14年代測定によって850年前頃,1100年前の2期存在する可能性が高いと想定された.仙台平野中部,沓形地区の南に隣接する荒井地区において,2000yrBPに襲来した津波堆積物の分布高度・範囲を明らかにし,砂質の津波堆積物とその上位に堆積したと考えられる砂混じり粘土層の分布範囲について検討した.また,約1000年前に襲来した貞観津波と合わせて,千年閲隔の大津波襲来の可能性について指摘した.さらに,貞観津波堆積物の分布において不明であった七北田川左岸の洪水堆積物および津波堆積物の検出を試みた.
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