本研究では、これまでのGWASによる頻度の高いSNP解析に加え、次世代シーケンサーを用いて希少変異のスクリーニングをおこない、より詳細な脳動脈瘤原因変異を検索する。 脳動脈瘤は破裂・未破裂、多発性、病変部位や瘤の大きさなど様々な表現型(subphenotype)を持ち、これらsubphenotypeが患者の転帰と関連している。特定の脳動脈瘤表現型の感受性に関与する遺伝子を同定することで、発症メカニズムの理解が進むと考えられる。そこで、脳動脈瘤感受性遺伝子座として同定した9p21領域のSNP(rs1333040)が、特定のsubphenotypeに特異的な効果を示す可能性について評価した。脳動脈瘤のsubphenotypeとして、くも膜下出血既往歴、多発性脳動脈瘤および脳動脈瘤の病変部位に着目した。subphenotypeに基づく患者サブグループと対照との間でSNPアレル頻度を比較する、多値ロジスティック回帰分析をおこない、サブグループ特異的遺伝的効果(オッズ比)を推定した。次いで、遺伝的効果がサブグループ間で有意に異なることを実証するために、二値ロジスティック回帰分析で患者サブグループ間のSNPアレル頻度を比較した。結果、後方循環と関連した特異的な表現型とrs1333040が関連することが明らかになった。さらに本年度は次世代シーケンサーを用いた変異検索をおこない、脳動脈瘤に関連する希少変異の検索を試みた。その結果、脳動脈瘤と関連する希少変異を同定できている。
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