研究課題
(森、小谷)ショウジョウバエインスリン様ペプチド(DILP2)をカイコサイポウイルス多角体に固定化し、DILP2/VP3多角体を作製した。S2培養細胞に同多角体を添加し、シグナル伝達因子Aktのリン酸化を確認した。野生型およびdilp2変異体幼虫の体腔中に同多角体を注入したところ、翅面積が有意に増加した。これは、注入された多角体からDILP2が徐放され、成虫原基の成長を促進した結果と考えられる。(山口)筋ジストロフィー関連遺伝子Syn1,Syn2のショウジョウバエ二重変異体は生存率が低下する。これを回復させる化合物を探索したが再現性が良くなかった。ALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因遺伝子であるFUS遺伝子のショウジョウバエホモログCabezのノックダウン系統を作製した。同遺伝子を神経特異的にノックダウンすると運動能低下と神経・筋接合部の異常が見られた。ALSモデルとして有用である。(井上)活性酸素ROSを除去する酵素SOD 1、2をショウジョウバエの脳神経系、筋肉細胞でノックダウンしたところ、運動量の早期低下、寿命の短縮がみられた。このとき、成虫脳内のドーパミン神経の減少、筋肉細胞にポリユビキチン凝集体の蓄積がみられた。これらはROS研究に有用である。その寿命を延長させる天然物をみいだした。現在,物質同定を進めている。InR変異体(2型糖尿病モデル)の表現型を部分的に回復させる化合物を1300種類から探索し、候補を得た。(竹谷、山口)ヘムオキシゲナーゼをノックダウンしたショウジョウバエを用いてこれと遺伝的相互作用を示す遺伝子の探索を行い、ATMを同定した。H2Aやp53の活性化とROS発生の亢進を示した。(亀井、山口)ROS産生酵素dDuoxの発現をGFPでモニターできる系統、AMPキナーゼを複眼でノックダウンした系統を樹立した。メタボリック症候群抑制物質の探索に有望である。
2: おおむね順調に進展している
これまでに筋ジストロフィー、ALS、メタボリック症候群、酸化ストレス蓄積による疾患あるいは老化、糖尿病の発症メカニズムの解明に有用な昆虫モデルが構築できた。これは予想以上の成果である。これらを用いてそれぞれの疾患モデルに効果のある薬剤を引き続き探索している。
今年度は本研究課題の最終年度であるので、各疾患の原因遺伝子だけでなく、それらと関連して働く遺伝子の機能についても疾患モデルを使って明らかにする。その中から新たな疾患マーカーの候補となる遺伝子を同定する。さらに疾患モデルを用いた治療薬の候補となる薬剤の同定にも重点を置く。そしてその成果をレベルの高い雑誌に発表することをめざす。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 18件) 学会発表 (23件)
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