研究概要 |
1)研究代表者らが構築している、腫瘍微小環境に着目した5つのスクリーニング系(a: がん細胞特異的な細胞周期阻害物質, b: 血管新生阻害物質, c: 低酸素環境適応がん細胞選択的な増殖阻害物質, d: 上皮間葉転換阻害物質, e: がん細胞の誘導・浸潤・接着阻害物質)での活性物質の探索を継続して実施し、海綿抽出エキスから血管新生阻害物質として、N-isopentenyladenosineおよび新規サポニンを見出した。また両化合物ともに、in vitroで血管内皮細胞の遊走および管腔形成を阻害することを明らかにした。 2)低酸素環境に適応したがん細胞の増殖を選択的に阻害するfurospinosulin-1に関して、アナログ化合物合成による構造活性相関研究の過程で見出し、in vitroで有望な活性を示すことが確認されたアナログ化合物を、腫瘍移植マウスモデルを用いて評価した。その結果、経口投与で天然物と同等以上の抗腫瘍活性を示すことが明らかとなった。 3)継続して実施している、血管新生阻害活性を示すcortistatin Aのアナログ化合物合成において、がん細胞に対する活性と比較して、500倍以上の血管内皮細胞選択性を示すアナログ化合物の創製に成功した。 4)Cortistatin Aおよびfurospinosulin-1の標的分子解析に使用するプローブ分子合成を進め、活性を保持するビオチン標識プローブの合成に成功した。
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