研究課題
メロテルペノイドは、テルペノイドとポリケタイドの両生合成経路によって作られる特異な二次代謝産物であり、両経路の多様性を相乗した分子多様性の創出が期待できる。糸状菌Aspergillus fumigatsの生産するメロテルペノイド、ピリピロペンの生合成遺伝子が同定されたことにより、メロテルペノイド生合成の全貌が明らかにされた。そこで、更なる分子多様性を構築するべく、他のメロテルペノイド生合成遺伝子クラスターの解析を進めた。A. fumigatusには別に2つ目のメロテルペノイド生合成遺伝子クラスターが存在し、ポリケタイド合成酵素(PKS)やプレニル基転移酵素(PT)の他にジテルペンの前駆体であるゲラニルゲラニルニリン酸合成酵素(GGPS)遺伝子が存在するなど、これまでに未同定の新規メロテルペノイドを生成するものと期待された。そこで、まずはPKSの機能解析を行うべく、本PKS遺伝子(Afu8g02350)のクローニングを行い、糸状菌発現ベクターであるpTAex3Aに導入し、A. oryzae M-2株を形質転換し発現系の構築を行った。一方、A. terreousより見出されたメロテルペノイドであるテレトニンの生合成遺伝子クラスター中に見出された新規PTであるTrt2(ATEG_1OO78)の詳細な機能解析を行った。PTはポリケタイド部分とテルペノイド部分を連結させる鍵となる酵素であり、多様性創出には大変重要である。Trt2は、芳香環へのプレニル基の導入を行うが従来の芳香族置換反応ではなく付加反応を行い、芳香性を失う特異な反応を触媒する。本来の基質である3,5-dimethylorsellinic acidの代わりに、反応点のメチル基を除去した3-methylorsellinic acidを反応させたところ、従来型の芳香族置換反応が起こったプレニル化生成物が確認され、Trt2はどちらのタイプの反応も触媒できる新規PTであることが判明した。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要に示したように、当初研究計画した通り実験が進み、研究成果を得ることができているため。
申請書に記載した通り当初研究計画に従い、研究に取り組む。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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