研究課題/領域番号 |
22241058
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河野 泰之 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80183804)
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研究分担者 |
田中 耕司 京都大学, 地域研究総合情報センター, 名誉教授 (10026619)
山尾 政博 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70201829)
横山 智 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30363518)
石川 智士 東海大学, 海洋学部, 准教授 (40433908)
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キーワード | 東南アジア / 農山漁村 / 持続型生存基盤 / 生業転換 / ラオス / カンボジア / タイ / 生態資源 |
研究概要 |
本研究は、今日の人類社会が普遍的な規範とする生産の効率化という発想の相対化と自然環境の変動や不確実性のもとでいかに生存するかという発想の強化を目指す持続型生存基盤パラダイムを、地域社会にダウンスケーリングし、東南アジア農山漁村における持続型生存基盤とは何かという問いに答えようとするものである。そのために、東南アジア農山漁村で進行している生業転換の実態を地域レベルで把握するとともに、生業転換による技術の導入や市場の拡大が革新的な生態資源利用を生み出しつつある事例に着目する。標準化された技術開発のみならず、自然環境の論理、すなわち水や熱の不確実だが安定した循環や自然生態系の再生力を活用した地域社会レベルの技術革新に着目することにより、東南アジア農山漁村の持続型生存基盤を再構築するための方向性を提示するとともに、地域研究と科学技術研究のさらなる融合を目指す。 平成23年度は、ラオスとカンボジアで合同ワークショップを開催するとともに、東南アジア諸地域でのフィールドワークを実施した。主たる成果は、1)東南アジア社会は、この数十年、地域や国家レベルの市場システムや統治制度という観点からは大きく変化しているが、そのインフォーマルな社会の構造やネットワークの変化は緩やかであり、生業転換は両者の影響を受けながら進行していること。2)生業転換の要因として、社会の構造的変化に加えて、移住やインフラ整備等のイベントを重視する必要があること、3)利用可能な自然資源の微視的な差異は短期的には生業転換の方向性に決定的な意味を持つが、長期的には、自然資源よりも市場ネットワークや行政サービスの影響力が大きいために、生態区分を超えて共通する生業転換が進行すること等が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ラオスやカンボジアでフィールドワークを実施し、その成果を論文27編(うち査読付き17編)、図書5冊にまとめた。研究代表者、分担者、協力者が連携して、生業転換と持続型生存基盤の再構築に関する知見を深めており、おおむね当初の計画通り、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降は、当初の計画にしたがって、東南アジア農山漁村における持続型生存基盤のモデル化に着手する。そのために、引き続き、フィールドワークを実施するとともに、国際ワークショップ・シンポジウムを開催する。
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