研究課題/領域番号 |
22242001
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮坂 道夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30282619)
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研究分担者 |
栗原 隆 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30170088)
細見 博志 金沢大学, 保健学系, 教授 (50165560)
足立 智孝 麗澤大学, 外国語学部, 非常勤講師 (70458636)
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80207802)
田澤 立之 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70301041)
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キーワード | 生命倫理学 / 医療倫理学 / 倫理原則 / 物語論 / 臨床倫理 / 方法論 / ナラティヴ / 医事法制 |
研究概要 |
本研究は、【1】医療倫理学の統合的方法論を構築する、【2】統合的方法論の臨床での実践可能性を検証する、【3】統合的方法論の法制度的な整合性を検証する、の3点を目標に掲げてスタートした。2年目である本年度においては、昨年度に引き続いて、文献資料・専門家からの情報・モデル事例等の収集を進めながら、(1)倫理原則の吟味と、物語論を手順論に統合する方法の検討理論的検討、(2)臨床での事例検討において参照しうる具体的手順(臨床倫理検討シートなど)を提示するための検討、(3)統合的方法論の法制度的な整合性の検討を行った。 包括的な研究成果としては、本研究計画全体の最終的な目標である統合的方法論の構築を、想定以上に速やかに進めることができ、その一部を論文・著書として公開することができた。これらの研究成果は、現時点でも国際的に類似のものが現れていない独創的なものであり、次年度以降もスピード感を持って進めていく価値のあるものと認識している。哲学・倫理学領域の成果としては、物語論と規範性、病気・健康の規範性、臨床状況での関係性等に着目した理論的研究の成果を見ることができた。医学・臨床関連の成果としては、緩和ケア、臓器移植、がん医療、遺伝医療等での臨床倫理の検討方法に関する課題の検討が公刊された。法制度的な領域では、医療事故の法的処理とリスクマネジメント等との関連付けおよび諸外国との比較法制度論的検討などが顕著な成果であった。ただし、現時点で構築している統合的方法論には、未検証の部分も残っており、次年度以降の研究では、生命倫理学・応用倫理学の視点から検証する理論研究、実際の臨床事例で医療と法制度の両観点から検証する実証研究が課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究計画全体の最終的な目標である統合的方法論の構築を、想定以上に速やかに進めることができ、その一部を論文・著書として公開することができたため。また、法制度的な検討においても、特に諸外国との比較法制度論的な検討を想定以上に進展させることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で構築している統合的方法論には、未検証の部分も残っており、生命倫理学・応用倫理学の視点から検証する理論研究、実際の臨床事例で医療と法制度の両観点から検証する実証研究が課題となった。なお、当初の計画を変更するものではないが、再生医療や脳神経科学、遺伝子医療などの新しい医療的課題や、原子力発電をめぐる倫理的問題(健康影響の評価や政策決定のあり方をめぐる問題)のように、従来は生命倫理・医療倫理の対象と考えられてこなかった課題が浮上している。当初の研究の想定を超えているこれらの新しい課題に対しても、本研究で構築しつつある統合的方法論が適用可能なのかも検証していきたい。
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