研究課題/領域番号 |
22242015
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
吉島 茂 聖徳大学, 人文学部, 教授 (50011309)
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研究分担者 |
岡 秀夫 目白大学, 外国語学部, 教授 (90091389)
近藤 安月子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90205550)
杉谷 眞佐子 関西大学, 外国語学部, 教授 (20033516)
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キーワード | グローカル / 外国語教育 / 言語政策 / カリキュラム / 教授法 |
研究概要 |
公用語と、外国語あるいは第二言語教育の関係をスイスのBasel市で調査した。同市の学校には60%以上を移民の子弟が占めるクラスが多くある。その子供たちを市民として受け入れる以上は、ドイツ社会で対等に活動できるだけのドイツ語能力をつけさせねばならない。同市の教育で特筆すべき点は、それが、移民だけを対象とするのではなく、Language Profileと呼ばれているカリキュラムにより、ドイツ語母語話者と一緒に同一のクラスで教育を行い、大学入学資格を勝ち取るまでの教育が行われていることである。しかも、言語教育を超えて全教科にこの考えを取り入れ、ドイツ語話者の生徒にとっても、その学業達成の基礎となるドイツ語能力の向上にも寄与しているとして全般の歓迎を得ている。これはCumminsのCALPの考え、CLILのアプローチとも比較できるが、すでにBasel一州の試みの段階を超えて、いくつかのKantonで組織的に実施されようとしており、制度化に大きな特徴がある。現在、日本では、大阪などの一部地域で移民のための日本語教育が課題になっているが、将来の日本社会を考えたときに大いに参考になる。 ヨーロッパでは、全COE参加国でCEFRに準拠する外国語教育が行われようとしている。外国語教育養成についても同様にEPOSTLをもとに平準化された教員養成が行われようとしている。これは外国語教員の養成が貧弱な日本が大いに参考にすべきところである。ただ、そうした参照枠は、抽象的メタ言語で書かれているため、現場では直接使えないという難点がある。そのために、ドイツの例であるが、2年の研修期間中に定期的に通うTeacher Seminarで実践的な対応力を身に付けさせる仕組みができている。こうした制度は日本では不十分としか言いようがない。必要な教員養成をどう行うか、これらを参考に引き続き調査研究を進める。
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