研究課題/領域番号 |
22242021
|
研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
平川 南 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (90156654)
|
研究分担者 |
李 成市 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30242374)
犬飼 隆 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (20122997)
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (20581101)
仁藤 敦史 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (30218234)
|
キーワード | 文字文化 / 出土文字資料 / 東アジア史 / 国際情報交換:中国・韓国 |
研究概要 |
本研究課題の最大の眼目は、上記のような古代文字資料についての資料単位の調査実績を踏まえ、東アジア諸国、とくに中国・韓国そして日本における文字資料の比較検討を経て、文字文化の伝播の実態と古代日本における文字文化の全体像を描くことである。 二年目にあたる本年度も、国内・韓国・中国における出土文字資料の調査研究を中心に行った。国内では、九州福岡県の古代文字資料を調査した。大宰府跡・筑後国府・大野城など、福岡県内には古代の官衙遺跡が集中しており、文字資料も豊富である。これらの調査・検討を通じて古代における東アジアとの窓口として機能していた様相を明らかにした。 韓国では、国立中央博物館において実施された企画展「文字、それ以後―韓国古代文字展」が実施された。本展示では韓国国内の主だった文字資料が集められて展示されており、これにあわせて調査・検討会を実施した。特に石碑は現物を間近で観察することができ、釈文の訂正など成果をあげられた。また、展示期間中に開催されたシンポジウムにも参加するなど、韓国の研究者との意見交換も積極的に行った。さらに、歴博および早稲田大学における韓国古代木簡研究会も定期的に実施し、調査の事前準備及び検討結果の整理を継続的に行っている。また、本年度から中国走馬楼呉簡の本格的な調査に入った。本年度は木簡・木牘を中心に実見調査を行い、概要把握と図版などでは分からない形状などについて細かに観察した。これらの調査報告および新出文字資料についての考察は、研究会を開催して検討を深めている。 さらに、昨年度に引き続き全国各地の文字資料の出土直後における写真資料画像データ化を進めた。本年度は約1,800枚のデータ化を終了させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国内では滋賀・福岡の主要な古代遺跡出土の文字資料調査を行い、科研メンバー以外の関連する研究者にも参加を募り、共同して考察を深めている。また、海外では韓国の古代木簡を中心とした資料調査を継続的に行い、日韓双方の研究者が協力して成果を挙げており、本年度の韓国国立中央博物館での特別展示はその一端を示している。さらに中国簡牘の調査も開始し、中・韓・日と東アジア全体を見通した文字文化の比較考察が現在までに可能となっている。また、出土遺物写真のデータ公開もおおむね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は初年度から三年間を、国内外の出土文字資料等の資料調査とそれらを対象とした研究成果発表に重点を置いている。平成24年度は中間年にあたり、現在までに進めてきた資料調査研究に基づき、シンポジウム「古代日本と朝鮮の文字文化交流」(平成24年12月)を企画し、広く国内外の研究者・市民に成果を公表する。シンポジウムの成果については、本にまと出版社から本にまとめ刊行する。 同時に、各地の資料調査・研究会を継続して行い、さらなる文字文化の形成過程解明に迫っていく。これらの成果は、現在進めている出土文字資料の写真データベース公開とともに、個々の研究論文や報告で発表していく。
|