研究課題/領域番号 |
22243001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 賢 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80226505)
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研究分担者 |
高見澤 磨 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70212016)
坂口 一成 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教 (10507156)
宇田川 幸則 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 教授 (80298835)
崔 光日 尚美学園大学, 総合政策学部, 教授 (60360880)
石井 知章 明治大学, 商学部, 教授 (90350264)
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キーワード | 中国法 / 市民社会 / NGO / 民間組織 / 公益団体 / 権威主義政治レジーム / 人権派弁護士 / 総工会 |
研究概要 |
研究実施計画にもとづきそれぞれのテーマにつき資料収集、解析を進めると同時に、川島、石塚を除く他のメンバーが中国海口市、昆明市、北京市を訪問し(2010年8月7~14日)、以下のNGOで活動状況につきヒヤリング調査を実施した。外来工之家(楊来清氏)、海南省総工会(掲暁強、熊韶崗氏等)、雲南健康と発展研究会(張開寧氏)、中美戴托普(day top)戒毒康復中心(楊茂彬氏)、北京愛知行研究所昆明辮公室(蘇濤、袁暁星氏等)、草根公益支持中心(陸非氏)。これらのNGOは労働および健康・疾病問題に関する活動を展開する民間組織であり、政治とは比較的かかわりが薄いと思われる場合でも権力との間で微妙な距離と緊張感を保ちながら、主に海外から資金援助を得て、主催者の使命感を支柱としながら綱渡りの活動を続けていることが分かった。労働組織の場合は官製組合である総工会との微妙な関係があり、外来工之家はすでに事実上、活動を停止していた。法的な地位の取得がいずれの組織でも大きな壁になっている。合法的地位を得るには、主催者個人の経歴や背景がとりわけ重要であり、権力に近い立場にいた者や大学の研究者などは比較的容易にクリアできる場合があることが分かったが、地域による偶然性にも左右されている。雲南でNGO活動が盛んになったのは、地元の党、政府が地域振興のために外国の資金を引き入れるために、積極的にNGOに合法的地位を与えたことによる。北京では益仁平や愛知行などのHIVや肝炎感染による差別問題に取り組む人権派弁護士数名(李静林、李方平、江天勇、唐吉田、彭剣)と座談会を開いて、人権派弁護士に対する国家による統制との軋轢について聞き取りを行った。今年度の調査により、今日、中国では権威主義政治レジームが維持され、困難な政治的、法的環境のなか、収益を目的としない公益的な市民運動が、一部の知識人の参与のもとで密かに広がっていることが分かった。
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