研究課題/領域番号 |
22243003
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
亘理 格 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30125695)
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研究分担者 |
大貫 裕之 中央大学, 大学院・法務研究科, 教授 (10169021)
米丸 恒治 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00202408)
山下 龍一 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60239994)
徳田 博人 琉球大学, 法文学部, 教授 (50242798)
横山 寿一 金沢大学, 経済学経営系, 教授 (10200916)
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キーワード | 関係性 / 連携 / 連帯 / 行政法学方法論 / 制度内在的視点 / 憲法規範 / 公共的秩序形成 / 公益性 |
研究概要 |
行政法学方法論を論ずるための基幹研究会を4回開催し、著名な公法研究者から問題提起を受けて議論を行った。その中から、a)行政法理論は法制実務との間でいかなる関係を取り結ぶべきか(仲野研究会)、b)行政法解釈論において実定法認識論はいかなる役割を果たし得るか(芝池研究会)、c)国・地方間関係等の政治次元の議論をいかにして法的議論の中に組み込むべきか(岩橋研究会)、d)憲法上の価値論や人権論を目的プログラム的方法を通して行政法解釈論の中に組み込むことは可能か(棟居研究会)、等の方法論的問題設定が有益であることが明らかとなった。b)の視点からは、憲法規範等の外在的な価値論に依存することなく、制度内在的視点から行政法解釈論を構築する可能性とその限界が問われる。これに対しd)の視点からは、いかにして、行政法解釈論は憲法的価値論や人権論と接合し得るかが問われることとなる。また、a)の視点からは、行政法総論体系と法制実務における条文構造との懸隔、異なる立法間を横串に通覧した場合に明らかとなる分野横断的な「相場」を可視化する必要性、立法先取り的研究の必要性が明らかとなった。他方、各論的領域研究における今年度の重点分野である公共的秩序形成研究グループによる研究が、大きく進展した。フランス土地法・環境法の著名な研究者(R.Hostiou氏等)との共同研究等を通して、1)公益性の司法コントロールをめぐる適法性と妥当性の境界線の相対化、2)国内行政法秩序と国際的法秩序間の緊張関係を視野に収める必要性、3)土地法をめぐる公法と私法の密接不可分の関係に注目する必要性が明らかとなった。特に2)の視点は、上記c)の視点と合流することにより、国民国家的法秩序観を自明の前提としてきた行政法制度内在的思考方法が、国際的法秩序及び自主財政権を含む自治立法権の双方から引き裂かれる状態にあることを、物語るものであることが明らかとなった。
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