研究課題/領域番号 |
22243008
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
二宮 周平 立命館大学, 法学部, 教授 (40131726)
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研究分担者 |
田中 通裕 関西学院大学, 法学部, 教授 (00131508)
村本 邦子 立命館大学, 応用人間科学研究科, 教授 (70343663)
渡辺 惺之 立命館大学, 法務研究科, 教授 (30032593)
櫻田 嘉章 甲南大学, 法科大学院, 教授 (10109407)
中野 俊一郎 神戸大学, 法科研究院, 教授 (30180326)
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キーワード | 家事紛争の解決過程 / 当事者へのサポート / 離婚後の親子の交流 / 国際的な子の奪取 / DV被害者の支援 / 民事手続 / 法と心理の協働 |
研究概要 |
2010年4月29日、30日、ミヒャエル・ケスター教授(ミュンヘン大学名誉教授)、ダグマー・ケスター・バルチン教授(ゲティンゲン大学)を招聘して、ドイツ新家事手続法における法的審問の保障と法治国家原則、ドイツにおける家庭内暴力と子どもの保護、ドイツ家族法における親の配慮権紛争に関して研究会を行った(研究会原稿を翻訳し、立命館法学に掲載、下記研究発表参照)。これらの研究を踏まえた上で、7月29日、ドイツ調査の打合せを行い、9月12日~19日までドイツのコッヘム家裁、ハイデルベルグ家裁、シュトゥットガルト高裁、ミュンヘン家裁を訪問し、子のいる夫婦の離婚紛争に関して、子の福祉を守るために父母が自ら協議して紛争を解決することを促進するシステム(コッヘム・モデル)を調査した。実際に審理の様子も見せてもらい、裁判官のコントロールの下、少年局のスタッフ、手続保護人、弁護士、心理相談員(心理鑑定士)が当事者の合意形成をサポートしていることが分かった(これらの成果は、「ドイツ家庭裁判所における合意形成促進モデル」として戸籍時報誌に掲載)。11月27日、28日、国立台湾大学にて、台日家族法共同研究会を開催し、子の奪取に関して台湾・日本の判例を検討し、台湾の相続法改正と日本の国際私法との関係等について検討を深めた。2010年度の成果について、2011年3月11日に、シュトゥットガルト家裁における心理鑑定人の活動、当事者の合意形成を促進するドイツ家裁の取り組み、子の奪取に関するドイツ調査について、報告会を行った。子のかかわる紛争については、裁判所で白黒をつける法的解決には限界があること、父母が解決へ向けて主体的に努力することが不可欠であり、そのためには合意形成をサポートする仕組みが必要であり、ドイツ家裁の取り組みはその点で大きな示唆を与えてくれた。また子の奪取に関しても、調停などを店用し、任意の引渡を可能にする仕組みが必要であることも認識できた。
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