研究課題/領域番号 |
22243019
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
出雲 雅志 神奈川大学, 経済学部, 教授 (10211731)
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研究分担者 |
川俣 雅弘 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80214691)
長峰 章 明治大学, 政治経済学部, 教授 (70189158)
福田 進治 弘前大学, 人文学部, 准教授 (00322925)
藤本 正富 大阪学院大学, 経済学部, 准教授 (30330103)
渡会 勝義 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80097196)
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キーワード | リカードウ / 古典派経済学 / 経済学史 / 経済思想史 / 経済理論史 |
研究概要 |
2011年度の研究実施計画にもとづく研究成果は、以下のとおりである。 1.2012年3月に「各国でのリカードウの受容と普及」をテーマとするInternational Ricardo Conferenceを京都で開催した。この国際会議では、フランス語圏、ドイツ語圏、イタリア語圏、ロシア語圏、ポルトガル語圏に日本を加えて、リカードウの受容と普及をめぐる各言語圏の異同や特色の比較を試みた。これが初めての試みであったことじたいにも意義があるが、人のつながりを介してフランス語圏とポルトガル語圏とのあいだにいくつかの共通点が指摘される一方で、他の言語圏にはやや独自の受容と普及の過程が見いだされることが明らかにされたのは、各国が直面したそれぞれの社会・経済問題と経済学との関係を考えるうえで、とくに重要である。なお、ヨーロッパ言語圏と非ヨーロッパ言語圏の「言語の障壁」という問題も、アジア言語圏での受容と普及を比較・検討するうえで見逃すことのできない課題となろう。 2.国際会議とは別に、2011年7月と12月、2012年3月に、それぞれリカードウ研究セミナーを開催した。このうち12月のセミナーではマンチェスター大学のTerry Peach氏を迎え、最近のリカードウ研究の動向や日本のリカードウ研究の現状について議論を交わした。 3.日本に初めてリカードウが紹介された1869年から現在にいたる日本のリカードウ研究の歩みは、まだあまり海外の研究者に知られていない。そのため、リカードウ研究の国際共同研究をすすめながら、同時に日本の研究蓄積を点検し、日本の研究を積極的に紹介する作業が、今後も必要とされる。 4.これまで開催された国際会議の成果を公刊する準備を開始したが、日本のリカードウ研究のアンソロジーの編集・翻訳作業にも継続して取り組む予定である。 5.欧米だけでなく、アジアや中南米諸国の研究者との広範で緊密なネットワークづくりにも、引き続き努力を傾けたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年3月に起きた大震災によって同年3月下旬に開催予定であった国際会議を中止・延期したため、研究計画を大きく変更せざるをえなくなったが、2010年度に予定していた研究計画は、2010年4月から2012年3月にわたって遂行され、現在、ほぼその遅れを取り戻した。そのため現時点では、「研究の目的」の達成をめざして、研究実施計画にもとづく研究をおおむね着実に遂行していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究にもとづき、今後は、リカードウ以後の経済学や同時人との対抗と交錯、課税と財政、国際経済学との関連といった問題にとくに着目して、以下のように研究をすすめる予定である。 1.リカードウ以後の経済学や同時代の経済学者との対抗と交錯、貿易と国際経済学、課税と財政、失業の理論などをテーマとする国際会議を開催する。 2.リカードウ研究セミナーを2回開催する。 3.これまでの国際会議や研究セミナーの成果を公刊する作業をすすめる。 4.日本のリカードウ研究のすぐれた業績を紹介するアンソロジーの編集・翻訳作業に集中して取り組む。 5.国際的な共同研究のネットワークづくりをさらにすすめる。
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