リカードウが経済学に与えた影響とその現代的意義の総合的研究

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 22243019
• 研究機関: 神奈川大学
• 研究代表者: 出雲 雅志 神奈川大学, 経済学部, 教授 (10211731)
• 研究分担者: 竹永 進 大東文化大学, 経済学部, 教授 (00119538) ; 諸泉 俊介 佐賀大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00210203) ; 福田 進治 弘前大学, 人文学部, 准教授 (00322925) ; 益永 淳 中央大学, 経済学部, 准教授 (00384727) ; 石井 穣 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (10587629) ; 服部 正治 立教大学, 経済学部, 教授 (20103913) ; 久保 真 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (30276399) ; 藤本 正富 大阪学院大学, 経済学部, 准教授 (30330103) ; 佐藤 有史 湘南工科大学, 工学部, 教授 (60288256) ; 久松 太郎 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60550986) ; 長峰 章 明治大学, 政治経済学部, 教授 (70189158) ; 渡会 勝義 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80097196) ; 川俣 雅弘 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80214691) ; 水田 健 東日本国際大学, 経済情報学部, 教授 (80275651) ; 八木 尚志 明治大学, 政治経済学部, 教授 (90261825)
• 研究期間 (年度): 2010-04-01 – 2015-03-31
• キーワード: リカードウ / 古典派経済学 / 経済思想史 / 経済学史 / 経済理論史

研究概要

2013（平成25）年度の研究実績の概要は以下のとおりである。
第１に、2013年9月に「New developments on Ricardo and Ricardian traditions」をテーマとするRicardo Conferenceをフランスのリヨンで開催した。この国際会議には、日本はもとより欧米の研究者が多数参加し、リカードウの貿易理論およびその後の国際経済学の展開、リカードウ経済学の可能性などについて幅広い視点から議論した。第２に、2013年9月、リヨン国際会議の直後に東京でRicardo Conferenceを開催し、海外からArie Arnon氏を迎えて、貨幣・金融理論および同時代人との関係などをめぐるリカードウおよびその周辺の経済学について考察した。第３に、2013年8月と12月にそれぞれリカードウ研究セミナーを開催し、財政、蓄積、貿易などに関して議論を交わした。第４に、2014年3月にRicardo Conferenceを開催し、イギリスからJohn Vint氏、フランスからJean-Pierre Potier氏とRebeca Gomez Betancourt氏を迎え、リカードウの貿易理論や財政論、J.S.ミルやハリエット・マーティノーとの関連について議論を交わした。第５に、これまでの国際共同研究の成果と蓄積をもとにリカードウの貨幣・金融理論および各国でのリカードウ受容を主題とする２冊の英文論集をRoutledge社から刊行した。第６に、日本のリカードウ研究のアンソロジーの編集作業の準備を不十分ながらもすすめた。第７に、欧米だけでなく、まだ限定された範囲ではあるものの、アジアや中南米諸国の研究者との広範で緊密なネットワークづくりをめざした。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

海外の研究協力者との緊密な連携のもとに、研究実施計画にもとづく研究をおおむね着実に遂行していると評価できる。

今後の研究の推進方策

これまでの研究成果にもとづき、今後、以下のように研究をすすめる。
１．リカードウと同時代の経済学者、リカードウおよびリカードウ後の貿易と国際経済学、課税と財政、失業の理論、リカードウが経済学に与えた影響、などをテーマとする国際会議を開催し、国際共同研究の進展をはかる。また、リカードウ研究セミナーを8月と12月に開催する。
２．昨年度中に刊行した2冊の英文論集に加え、国際会議や研究セミナーの成果の出版に引き続きとりくむ。
３．日本のリカードウ研究のアンソロジーの編集作業には、今後も時間をかけて取り組む。
４．国際的な共同研究のネットワークづくりをさらにすすめる。

研究成果

• [雑誌論文] James Mill and John Stuart Mill on population (2014)
  • 著者名/発表者名: 長峰章
  • 雑誌名: 明治大学政経論叢 巻: 82巻3･4号 ページ: 315-330
  • 査読あり
• [雑誌論文] 『対外穀物貿易論』におけるトレンズの穀物貿易政策論―その財政的含意― (2014)
  • 著者名/発表者名: 益永淳
  • 雑誌名: 経済学論纂（中央大学） 巻: 54巻3・4合併号 ページ: 119-137
• [雑誌論文] 川名雄一郎『社会体の生理学―Ｊ・Ｓ・ミルと商業社会の科学』（京都大学学術出版会、2012） (2014)
  • 著者名/発表者名: 久保真
  • 雑誌名: 経済学史研究 巻: 55巻2号 ページ: 126-127
• [雑誌論文] 古典派経済学の普及過程に関するテキストマイニング分析－リカード、ミル、マーティノーを中心に－ (2014)
  • 著者名/発表者名: 福田進治
  • 雑誌名: 人文社会論叢 社会科学篇（弘前大学） 巻: 31号 ページ: 51-66
• [雑誌論文] 日本のリカード研究－労働価値理論を中心に－ (2014)
  • 著者名/発表者名: 福田進治
  • 雑誌名: マルサス学会年報 巻: 23号 ページ: 1-33
  • 査読あり
• [雑誌論文] 相対的過剰人口論と利潤率の傾向的低下論－J.S.ミルとの比較をふまえて─ (2014)
  • 著者名/発表者名: 石井穣
  • 雑誌名: 経済経営研究所年報（関東学院大学） 巻: 36集 ページ: 67-85
• [雑誌論文] ジョン・ボイド・オールの食料政策論（下） (2014)
  • 著者名/発表者名: 服部正治
  • 雑誌名: 立教経済学研究 巻: 67巻3号 ページ: 67-97
• [雑誌論文] 小林昇文書について (2014)
  • 著者名/発表者名: 服部正治
  • 雑誌名: 立教経済学研究 巻: 67巻4号 ページ: 167-172
• [雑誌論文] J. S. ミルの機械論：ベルグ=ブラウグ論争に寄せて (2014)
  • 著者名/発表者名: 諸泉俊介
  • 雑誌名: 佐賀大学全学教育機構紀要 巻: 2号 ページ: 15-42
• [雑誌論文] 19世紀前半のイギリスにおける穀物法問題― 一国の租税支払い能力の視 点から― (2013)
  • 著者名/発表者名: 益永淳
  • 雑誌名: 経済研究所年報（中央大学） 巻: 44号 ページ: 69-89
• [雑誌論文] I.I.ルービンの「マルクス貨幣論概説」 (2013)
  • 著者名/発表者名: 竹永進
  • 雑誌名: 経済論集（大東文化大学） 巻: 100号 ページ: 51-108
• [雑誌論文] Essays on Marx's theory of money of I.I.Rubin (2013)
  • 著者名/発表者名: 竹永進
  • 雑誌名: The European Journal of the History of Economic Thought 巻: Vol.20, No.3 ページ: 536-542
• [雑誌論文] 鈴木和雄著『接客サービスの労働過程』 (2013)
  • 著者名/発表者名: 竹永進
  • 雑誌名: 季刊経済理論 巻: 50巻2号 ページ: 88-90
• [雑誌論文] ジョン・ボイド・オールの食料政策論（上） (2013)
  • 著者名/発表者名: 服部正治
  • 雑誌名: 立教経済学研究 巻: 67巻1号 ページ: 17-43
• [雑誌論文] ジョン・ボイド・オールの食料政策論（中） (2013)
  • 著者名/発表者名: 服部正治
  • 雑誌名: 立教経済学研究 巻: 67巻2号 ページ: 27-59
• [学会発表] The Role of the Chapter on Foreign Trade in Ricardo's Theoretical System and Its Implication on the Ability of a Nation to Pay Taxes
  • 著者名/発表者名: 益永淳
  • 学会等名: International Ricardo Conference: New developments on Ricardo and Ricardian traditions
  • 発表場所: Centre Jean Bosco, Lyon, France
• [学会発表] Dissecting the Chapters on taxation in Ricardo's Principles
  • 著者名/発表者名: 益永淳
  • 学会等名: International Ricardo Conference: Ricardo and his Comtemporaries / After Ricardo
  • 発表場所: 東京・中央大学駿河台記念館
• [学会発表] The Figure of Ricardo in Mid-Nineteenth-Century Cambridge
  • 著者名/発表者名: 久保真
  • 学会等名: The 40th annual conference of the Hisory of Economics Society
  • 発表場所: The University of British Columbia, Canada
• [学会発表] The Figure of Ricardo in Mid-Nineteenth-Century Cambridge
  • 著者名/発表者名: 久保真
  • 学会等名: International Ricardo Conference: New developments on Ricardo and Ricardian traditions
  • 発表場所: Universite Lumiere Lyon 2, France
• [学会発表] I.I.Rubin’s Essays on Marx’s theory of money
  • 著者名/発表者名: 竹永進
  • 学会等名: The 17th Annual Conference of the European Society for the History of Economic Thought
  • 発表場所: Kingston University, London, England
• [学会発表] I.I.Rubin’s Essays on Marx’s theory of money
  • 著者名/発表者名: 竹永進
  • 学会等名: Workshop on CEDEPLAR
  • 発表場所: Federal University of Minas Gerais, Brazil
• [学会発表] Marx's excerpt notebooks on the crisis of the mid-1860's
  • 著者名/発表者名: 竹永進
  • 学会等名: International Conference on Marxism and Socialism in the 21st Century
  • 発表場所: Wuhan University, Wuhan, China
• [学会発表] 日本のリカード研究－労働価値理論を中心に－
  • 著者名/発表者名: 福田進治
  • 学会等名: 第23回マルサス学会大会
  • 発表場所: 北海道・北海学園大学
• [学会発表] Ricardo Studies in Japan: On the Labour Theory of Value
  • 著者名/発表者名: 福田進治
  • 学会等名: International Ricardo Conference: New developments on Ricardo and Ricardian traditions
  • 発表場所: Centre Jean Bosco, Lyon, France
• [学会発表] Popularization of Classical Economics: A Text-mining Analysis on David Ricardo, James Mill and Harriet Martineau
  • 著者名/発表者名: 福田進治
  • 学会等名: Sendai History of Economic Thought Workshop
  • 発表場所: 宮城・東北大学
• [学会発表] Hayek's Ricardo Effect and the Ricardian Tradition
  • 著者名/発表者名: 石井穣
  • 学会等名: International Ricardo Conference: New developments on Ricardo and Ricardian traditions
  • 発表場所: Centre Jean Bosco, Lyon, France
• [学会発表] マルクス利潤率低下論と相対的過剰人口論
  • 著者名/発表者名: 石井穣
  • 学会等名: 経済理論学会第61回大会
  • 発表場所: 東京・専修大学
• [学会発表] John Barton on Population, Poverty, and Measures
  • 著者名/発表者名: 石井穣
  • 学会等名: Population, Poverty and Welfare in the History of Economic Thought: an international comparison
  • 発表場所: 東京・早稲田大学
• [学会発表] 羽鳥卓也先生の研究史―『近世日本社会史研究』（1954）、『市民革命思想の展開』（1957）を中心に―
  • 著者名/発表者名: 服部正治
  • 学会等名: 第28回リカードウ研究会
  • 発表場所: 東京・明治大学
• [学会発表] マルサス『人口論』初版における人口動学メカニズム
  • 著者名/発表者名: 久松太郎
  • 学会等名: 経済学史学会第77回全国大会
  • 発表場所: 大阪・関西大学
• [学会発表] Edward West's Law of Diminishing Returns Reconsided: Its Application to the Theory of Corn Trade
  • 著者名/発表者名: 久松太郎
  • 学会等名: International Ricardo Conference: New developments on Ricardo and Ricardian traditions
  • 発表場所: Centre Jean Bosco, Lyon, France
• [学会発表] Structural Dynamics and Inflation
  • 著者名/発表者名: 八木尚志
  • 学会等名: The 17th Annual Conference of the European Society for the History of Economic Thought
  • 発表場所: Kingston University, London, England
• [学会発表] A Note on the Smithian Reproduction Model
  • 著者名/発表者名: 八木尚志
  • 学会等名: International Conference on Economic Theroy and Policy after the Crisis
  • 発表場所: 東京・明治大学
• [学会発表] 佐藤滋正『リカードウ価格論の展開』（日本評論社）を めぐって
  • 著者名/発表者名: 諸泉俊介
  • 学会等名: 第27回リカードウ研究会
  • 発表場所: 東京・明治大学
• [学会発表] J.S. Mill on Condition of Labour
  • 著者名/発表者名: 諸泉俊介
  • 学会等名: International Ricardo Conference: Ricardo and his Comtemporaries / After Ricardo
  • 発表場所: 東京・中央大学駿河台記念館
• [学会発表] Value, price and income distribution
  • 著者名/発表者名: 渡会勝義
  • 学会等名: Seminars and Debates around the Work of David Ricardo
  • 発表場所: Ecole Normale Superieure de Lyon, France
  • 招待講演
• [学会発表] Kinjiro Ninomiya’s Economic Thought and Recovery from Poverty of Some Villages Towards the End of Edo Period
  • 著者名/発表者名: 渡会勝義
  • 学会等名: Population, Poverty and Welfare in the History of Economic Thought: an international comparison
  • 発表場所: 東京・早稲田大学
• [学会発表] Ricardo and McCulloch
  • 著者名/発表者名: 渡会勝義
  • 学会等名: International Ricardo Conference: Ricardo and his Comtemporaries / After Ricardo
  • 発表場所: 東京・中央大学駿河台記念館
• [学会発表] James Mill and John Stuart Mill on ‘Population’
  • 著者名/発表者名: 長峰章
  • 学会等名: International Ricardo Conference
  • 発表場所: 東京・明治大学
• [学会発表] J. S. Mill’s Idea of International Trade by Inheritance from Ricardo’s Free Trade and Torrens’ Reciprocity
  • 著者名/発表者名: 藤本正富
  • 学会等名: International Ricardo Conference: New developments on Ricardo and Ricardian traditions
  • 発表場所: Universite Lumiere Lyon 2, France
• [学会発表] J. S. Mill's Demand-Analysis and International Trade
  • 著者名/発表者名: 藤本正富
  • 学会等名: International Ricardo Conference
  • 発表場所: 東京・明治大学
• [学会発表] Robert Torrens' Position on the Genealogy of the Theory of Reciprocal Demand
  • 著者名/発表者名: 藤本正富
  • 学会等名: International Ricardo Conference: Ricardo and his Comtemporaries / After Ricardo
  • 発表場所: 東京・中央大学駿河台記念館
• [図書] The Reception of David Ricardo in Continental Europe and Japan (2014)
  • 著者名/発表者名: 出雲雅志、佐藤滋正、Gilbert Faccarello、Alain Beraud、Christian Gehrke、Jose Luis Cardoso、Salvador Almenar、Anna La Bruna、Annalisa Rosselli、Denis Melnik
  • 総ページ数: vi + 249 (212-242)
  • 出版者: Routledge
• [図書] Ricardo on Money and Finance: A bicentenary reappraisal (2013)
  • 著者名/発表者名: 竹永進、佐藤有史、David Glasner、Jerome De Boyer Des Roches、Ghislain Deleplace、Sylvie Diatkine、大友敏明、Matthew Smith、Florencia Sember
  • 総ページ数: x + 222 (77-114)
  • 出版者: Routledge
• [図書] マルクス抜粋ノートからマルクスを読む (2013)
  • 著者名/発表者名: 竹永進、大谷禎之介、平子友長、森下宏美、浅川雅巳、天野光則
  • 総ページ数: 264 (173-194)
  • 出版者: 桜井書店
• [図書] Ricardo on Money and Finance: A bicentenary reappraisal (2013)
  • 著者名/発表者名: 佐藤有史、竹永進、David Glasner、Jerome De Boyer Des Roches、Ghislain Deleplace、Sylvie Diatkine、大友敏明、Matthew Smith、Florencia Sember
  • 総ページ数: x + 222 (53-74)
  • 出版者: Routledge
• [図書] マルサス ミル マーシャル：人間と富との経済思想 (2013)
  • 著者名/発表者名: 諸泉俊介、柳沢哲也、真鍋智嗣、柳田芳伸、松井名津、舩木惠子、森下宏美、中井大介、近藤真司、姫野順一
  • 総ページ数: 265 (79-102)
  • 出版者: 昭和堂