研究概要 |
実証分析班 各員は内部労働市場の分析にそれぞれ取り組んだ。代表者である中林は、戦前期炭鉱企業の内部労働市場を分析するための資料調査を進めるとともに、戦後復興期から高度成長期にかけての製鉄企業の内部労働市場の分析を進化させた。製鉄企業の研究は,欧米の技術が急速に導入され,従来の技能が陳腐化するとともに,企業が設計した内部労働市場の機能が急速に充実してゆく戦後復興期から高度成長期にかけての時期における,旧富士製鉄(現新日鉄)の賃金台帳を分析し,内部労働市場形成の実態を分析しようとするものであるが、これについては第一次的な分析結果を得たことから、国内外の研究会、学会において報告し、研究のさらなる進展に有益な知見を得た。 理論分析班 各員は内部労働市場の分析に関連する理論研究の進化に努めた。主たる連携研究者である石黒真吾は、組織変化の動学モデルを内部労働市場に適用した新しいモデルの構築を推し進めた。 定例研究会と国際会議 研究代表者および連携研究者各員の研究成果を共有するとともに、内外の関連する研究成果を速やかに吸収するために、学期中は大阪大学大学院経済学研究科において計8回の月例研究会を開催し、夏期と春期の長期休暇中には各1回、計2回の国際会議を東京大学社会科学研究所において同所共催として開催した。これらの研究会および研究会議は若手、中堅研究者の交流の場としても広く認知されつつあり、今年度においても多くの優れた報告者を確保できたことは幸いであった。研究会と国際会議の記録は論文題目、論文要旨を合わせて系統的に保存、管理されている。 若手研究者の育成 上記研究会および国際会議の運営にあたっては、研究協力者の大学院生をはじめとする若手研究者にも積極的に報告枠を割り当て、その育成を図った。
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