研究課題/領域番号 |
22243027
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
大野 健一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (40240684)
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研究分担者 |
大野 泉 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (20397102)
上江洲 佐代子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 専門職 (90571662)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / エチオピア:ガーナ:モザンビーク:ベトナム:韓国 / 産業政策 / アフリカ / アジア / 政策学習 / 政策対話 |
研究概要 |
①本研究の主要成果となる英文書物「Learning to Industrialize: From Given Growth to Policy-aided Value Creation」をルートリッジ社から出版した。この書は、本研究の主題である「プロアクティブな産業政策」の背景、定義、具体的内容、実施の手続き・組織・文書、および6か国の具体的事例などを包括的に提示した。近い将来、日本語版および英語ペーパーバック版も出版される予定。 ②アフリカ経済転換センター(ガーナ)と世界銀行(ワシントン)の産業政策研究者を東京に招聘し、国際シンポジウム「アフリカの軽工業:現状・展望・政策」を開催した。 ③エチオピアで、JICAと共同実施している「産業政策対話」(研究代表者がリーダーをつとめる)において、本研究の成果を適用して、5カ年計画策定、工場カイゼン、輸出政策などにつき年4回ペースの協議を継続した。先方の首相の要請により、産業政策対話は次年度以降も継続することが決定した。 ④ベトナムで、日越官民の協力案件である「工業化戦略」(研究代表者が作業部会長をつとめる)において、本研究の成果、とりわけ政策策定法および政策文書構成(行動計画テンプレート)を適用して政策作業を改善した。また、日本のものづくり中小企業誘致政策についてのシンポジウムおよび政策勧告を行った。 ⑤モザンビークで、経済回廊政策、道路政策、外資=現地企業リンケージにつき、現地調査を行い、セミナーおよび政策議論を実施した。 ⑥高麗大学(ソウル)、財政経済開発省・工業省・公務員大学(アジスアベバ)、アフリカ経済転換センター(アクラ)、国民経済大学・ベトナム開発フォーラム(ハノイ)、経団連・ベトナム研究者会議・本学(東京)、関経連・アジア太平洋研究所(大阪)などで報告や講演を行い、研究成果を積極的に広報した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の3年目において、主要成果である英文書物を出版することができ、この書を提示・配布しながら、産業政策の具体的なつくり方(手法・文書・組織など)を議論、広報、さらには実際の政策現場への適用ができる体制ができた。また和文書物出版および英文書物のペーパーバック化の準備も進行しており、来年度以降出版できる予定である。 研究成果の発信を開始し、アフリカおよび世銀で工業化の政策研究に携わり最近研究報告書を出版した著者らを招き、アフリカ製造業に関する国際会議を東京で開催した。そのほか、多くの国での会議、セミナー、講演の機会を活用して、研究成果の広報に努めた。 エチオピアとベトナムにおいて、ハイレベルの政策現場において、本研究の成果を反映した新たな支援や勧告を打ち出しつつある。エチオピアでは、政策対話を通じて、ハイレマリアム首相の本研究に対する深い信任を得たことが特記される。
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今後の研究の推進方策 |
成果品としての、和文書物、英文ペーパーバック版をできるだけ早く出版する。また本研究の成果を広報し、あるいは派生するテーマを論じるために、論文、講演、報告、マスコミなどの場をひきつづき積極的に活用していく。 本研究の成果をアジア、アフリカ、英独、韓国、国際機関(UNIDO、UNDP、世銀、WTOなど)で産業政策に携わっている研究者に提示し、意見交換を行い、彼らの見解との一致点・相違点を確認してさらなる研究展開の材料とする。 エチオピアとベトナムを中心に、我々が直接関わっている現実の政策現場への支援において、本研究の成果を具体的に適用・採択する努力を引き続き行う。
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