研究課題/領域番号 |
22243029
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
宮島 英昭 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (60182028)
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研究分担者 |
広田 真一 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40238415)
久保 克行 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (20323892)
蟻川 靖浩 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (90308156)
青木 英孝 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (90318759)
齋藤 卓爾 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (60454469)
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キーワード | ファイナンス / 企業統治 / 内部組織 / 所有構造 / 市場競争 / R&D投資 / M&Aの決定 / 持株会社 |
研究概要 |
本研究の目的は、先進諸国における多様なガバナンスを分析する新たな理論、実証的枠組みを構築し、国際比較を通じて日本の企業統治の特性を解明する点にある。具体的な課題は、以下の2点にあった。 1)平成(複合)不況と世界経済危機を経た日本の企業統治の特性理解と再設計 2)ビジネスモデル(経営戦略)を明示的に考慮した企業統治と企業パフォーマンスの関係の解明 本年度は、テーマ1)について、基礎的なデータの収集、必要な変数の構築を進める一方、そのデータを用い、日本企業の企業統治構造がどのように進化したかを分析した。特に、近年の不祥事の発生、会社法改正論議の深化を強く意識して分析を進めた。宮島は、内外機関投資家の増加の要因とその効果に関する分析を進める一方、また、取締役会構成の決定要因・効果の分析を試みた。企業集団の役割の再検討に関して、宮島は、研究協力者の中村政男(UBS)と株式ポートフォリオの観点から接近し、1次推計をほぼ終えた。広田は、株主主権が日本企業にどの程度ワークしているかを理論的・実証的に分析した。所有構造の進化の国際比較では、宮島が、Franks(LBS),Mayer(Oxford)とともに分析を進め、その成果はNBERで報告予定である。他方、テーマ2)に関しては、経営戦略・組織戦略に関連する変数を構築する一方、投資、雇用調整、R&D、M&Aなどの個々の要素を経営戦略に統合する分析手法の開発を進めた。この成果をもとに、蟻川・宮島は、R&Dと企業統治の関係を解明した論文を作成した。また、蟻川は、M&Aにともなうシナジーの効果に関して分析を進め、齋藤・久保は、M&A後の雇用調整を検討した。また、青木は、分権化とパフォーマンスの関係を分析した。さらに、宮島は、持株会社の選択に関して、1次分析の結果を公表する一方、上場子会社の完全子会社の選択などの分析に着手し、データの構築を終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ整備では、これまで蓄積した変数(所有・資本・取締役の構成)に加えて、買収防衛策、持株会社の設立、子会社(上場と完全子会社化)につき新たにデータを構築できた。成果面では、統治構造の進化について、機関投資家の増加、社外取締役の選任の分析などで成果を上げた。また、企業統治と戦略・組織選択との関連の分析も、M&A、組織の分権化の効果、持株会社や完全子会社化の選択につき所期の進捗を示した。
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今後の研究の推進方策 |
データ構築面では、これまでの変数を直近まで延長・整備する一方、新たに株式所有について、投資家の時間的視野を考慮に入れた分類の細分化を図る。さらに、社外取締役の属性の細分化、企業特殊な知識・熟練を測定する代理変数、従来の水平・垂直をこえた事業上の関連を示す指標の開発・データ構築に取り組む。分析面では、ひきつづき、社外取締役、内外機関投資家の増加の企業行動・パフォーマンズに与える影響、企業統治の特性が、M&A、R&D、財務選択(配当政策・資金調達)に与える影響を分析する。組織選択に関しては、持株会社.完全子会社化の選択について成果公刊を目指す。さらに、近年の事態の変化を考慮して、粉飾決算(不祥事)発生、公開と上場廃止の選択、CSR活動と企業統治の関係など、新たな問題も視野に収める。
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