今年度の「ソーシャルワークの評価方法と評価マニュアル作成に関する研究」は、昨年度のソーシャルワーカーに対する質的研究結果で得られた、障害者領域、児童(学校)領域、患者領域、高齢者領域の領域別で明らかにしたソーシャルワークの評価項目について、量的研究でもって、実施度や重要度を実証するものである。障害者に対する相談支援の評価では、インテーク、アセスメント、支援計画から実施・モニタリングのプロセスと、相談援助の基盤づくりに評価項目を分類し、評価した。スクールソーシャルワークの評価では、子ども・家族に対するインテーク、アセスメント、ケース会議、ケアプランの実施、モニタリングのプロセスと、相談の基盤に分類し分析した。病院のソーシャルワーカーの評価では、患者や家族、病院組織やスタッフ、地域や社会に対象を分け、アセスメントの評価に関する業務、新たな生活の場・方法を決めるための相談・情報提供などの個別支援にかかわる業務、地域生活を可能にするケアやサービスにかかわる連絡・調整・連携業務、アドボカシー・権利擁護に関わる業務、仕組みづくり・資源開発にかかわる業務でもって評価項目を分類し分析をした。高齢者については、施設の認知症ケアに特化して評価項目を、職員との関係形成、他の利用者との関係形成、家族との関係維持、安全への配慮、環境の整備に評価項目を分けて分析をした。 それぞれに領域のソーシャルワーカーを対象にする量的調査での評価軸としては、構造、プロセス、アウトカムの3側面から分析することで、ほぼ共通性が見られた。今後、個々の対象での分析に加えて、領域間での評価の共通性と相違性について検討していくことになるが、一般に重要度と実施度には相関が高いが、実施度よりも重要度の方が高い結果となった。
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