研究課題/領域番号 |
22243043
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60255601)
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研究分担者 |
岡田 浩之 玉川大学, 工学部, 教授 (10349326)
酒井 弘 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50274030)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 音象徴性 / 語意学習 / 語彙発達 / 日本語教授法 / コミュニケーション支援 |
研究概要 |
子どもは目覚しい速度で効率よくことばを学習する。しかし、これまでの研究では記号としてのことばと意味を結び付ける最初の足がかりが何なのかについては明らかにされていない。言語発達の中で、子どもはどうやって最初に音と意味の対応関係を理解するのだろうか。言語学習の基盤となる能力の中で特に重要な能力として発達 心理学、認知心理学、脳神経科学の分野で最近注目されるのが、音と意味の間の関係(音象徴性)を感じ、これを足がかりとして新しい語を学習していく能力である。本年度は乳児がどのようにして最初に言語の音声ラベルと意味を結びつけるのかを明らかにすることを目的とし、脳波実験を継続し分析を進めた。11ヵ月児における音と対象の間に対応がある場合に特徴的なパターンを対象とした全脳における位相同期解析を進めた。 また、養育者の幼児への語りかけを誘導産出する実験において、発話中の擬態語の音韻/音響的特徴などの観点から分析し、幼児の年齢が進むのに応じて養育者が単なる呼びかけとして用いていた擬音語を、発話中で統語的に組み込むように推移していくことを示した。また音象徴性における普遍性と言語特異性についても、動画に対して日本語話者・英語話者に新規擬音語の生成させる実験から、有声/無声という音韻的特徴を重さに関連付けるという点で普遍性が見られる一方でその特徴をどのように重さに関連付けるかという点で言語特異性が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳波実験の結果、11ヵ月児のパターンが事前に予測していたパターンとやや異なるものだった。そのため、同一の刺激で成人の脳波実験をする必要が生じ、追加実験を実施した。そこで、6カ月乳児を対象にした実験にやや遅れが発生している。
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今後の研究の推進方策 |
脳波実験については、成人を対象とした実験の結果を受けて、6カ月乳児を対象にした実験を実施する予定である。 また、今後も、音象徴性が語彙発達に対し果たす効果をより一層解明すべく、乳幼児に対する音象徴性に関する実験を初め、成人に対する実験により音象徴性そのものが持つ特徴についてもさらにデータ分析を進めていく。
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