研究概要 |
教育分野での国際協力の重要性が言われる現在の国際社会にあって,教育立国に成功した日本は,その成果を世界に発信することが求められている。その一方途として,本研究では,中米ドミニカ共和国をフィールドに発展途上国における教員養成系大学の改善を支援するモデル構築を図る。そのため、 サントドミンゴ自治大学(UASD)教育科学部における教員養成の実態(理念,制度,実施内容,意識等)を調査し,日本との類似点ならびに相違点等を考察して,その特徴を明らかにし、それを踏まえて,研修プログラムを研究開発することにより,UASD教育科学部に内在する課題を明確にする。その調査・分析に基づき,広島大学大学院教育学研究科の教育経験を活かした改善策を考察する。それにより,発展途上国の持続的発展を担う次世代育成システム構築のモデルについての展望を得んとする。 UASD教育科学部と3年間の開発的研究を行うにあたっては,両国の教育制度や学校教育現場の状況,両大学の教員養成課程の実際等に関する相互理解が欠かせない。したがって,研究初年度である平成22年度の活動は,広島大学側がドミニカ共和国内で現地調査を行うとともに,UASD教員を招聘し,セミナー等の開催による情報提供を行った。そうした相互理解と協働体制を基盤として,研修プログラム開発の目的・内容・評価の枠組みを設定した。具体的には,ドミニカ共和国における現地調査の効果を高めるために,関係文書資料を収集・翻訳し,その解析を行うとともに,研究リーダーとグループ員がドミニカ共和国を訪問し,UASD教育科学部における教員養成の実態等を視察するとともに,教育行政担当者等からの聞き取り調査も行い,資料・情報の収集を行った。また、ドミニカ共和国の教員養成関係者を日本へ招聘し,日本の学校教育現場・教員・児童,本学の教員養成現場を視察させ,両国の類似性や差異について意見交換をした。
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