研究課題/領域番号 |
22243048
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
棚橋 健治 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40188355)
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キーワード | 教師教育 / 教員養成 / 教員研修 / 授業研究 / ドミニカ共和国 |
研究概要 |
教育分野での国際協力の重要性が言われる現在の国際社会にあって、教育立国に成功した日本は、その成果を世界に発信することが求められている。その一方途として、本研究では、中米ドミニカ共和国をフィールドに発展途上国における教員養成系大学の改善を支援するモデル構築を図る。そのため、サントドミンゴ自治大学(UASD)教育科学部における教員養成の実態(理念、制度、実施内容、意識等)を調査し、日本との類似点ならびに相違点等を考察して、その特徴を明らかにし、それを踏まえて、研修プログラムを研究開発することにより、UASD教育科学部に内在する課題を明確にする。その調査・分析に基づき、広島大学大学院教育学研究科の教育経験を活かした改善策を考察する。それにより、発展途上国の持続的発展を担う次世代育成システム構築のモデルについての展望を得ようとする。 この目的を達成するために、2011年度は、UASD教育科学部において、教員養成課程ならびにそこにおける授業の改善を目指したFD・授業研究の枠組みを導入し、その定着を図った。具体的には、2010年度の研究成果をもとに、ドミニカ共和国で3回及び日本で1回、授業研究を基盤とする研修プログラムを計4回実施した。4つの教科教育研究グループ(数学、理科、社会、体育)を両国が共同で設け、各々の研究課題(たとえば社会科グループでは、「社会科における社会的概念・事実・プロセスの学習を支援する教授方略とモデル授業の開発」)を設定し、公開の研究授業と協議会によりUASDにおける授業改善を図った。UASDでは本プロジェクトの継続的でかつ自律的な実施に向けた検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「試行的な組織と計画を構築する」という当初の目標を達成した。さらに、両国内で実施した研修におけるポートフォリオやリフレクション・シート等の記述ならびに討論において、UASD教員に授業研究の意義や有効性、同僚性構築の重要性に対する意識の高まりが、想定以上に認められた。
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今後の研究の推進方策 |
授業を科学的な研究対象とし、理論と実践の関係を学問として構築していくことが、発展途上国の教員養成課程に対する支援モデル構築にとって極めて重要であり、本研究では、UASD教員の中に、協同で授業研究を行う教員文化を醸成していく組織的取組が継続的に行われるようにすることを目指している。これまでの本研究は、そのような課題に対して有効に作用していると判断できるので、今後も当初の計画に沿って推進する予定である。
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