研究課題/領域番号 |
22244001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 毅 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70201506)
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研究分担者 |
玉川 安騎男 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00243105)
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キーワード | 代数学 / 整数論 / 数論幾何学 / エタール・コホモロジー / ガロワ表現 / 超曲面 / 判別式 / 分岐 |
研究概要 |
分岐理論に関する研究を進めた。 正標数の局所体の分岐群について,logつきの分岐群については以前の研究で、その次数商の指標群からある種の微分加群への標準単射を構成した。logなしの場合にも、logつきの場合より困難なものの、同様の単射を構成できると期待される.logつきの場合と異なりlogなしの場合には、分岐因子と横断的に交叉する一般的な曲線への制限で情報が失われないと考えられるため、Deligneによる特性サイクルの定義との関係が深いと考えられる.詳細の確認は次年度以降の課題である. 偶数次元の射影非特異多様体の中間次元のエタール・コホモロジーへのガロワ作用の行列式は,定義体のガロワ群の位数2以下の指標を定める.標数が2でない場合には、この指標がde Rhamコホモロジーのカップ積の判別式の平方根で定まることを以前の研究で示した。多様体が射影空間内の超曲面の場合に、この指標を定義方程式の判別式で表した。この指標は、判別式の±1倍の平方根で定まることが、超曲面族の普遍族を用いて、Picard-Lefschetzの公式を適用することで示される。さらに、Fermat超曲面のEuler数の計算を使って、この符号を具体的に決定した.偶数次元の完全交叉についても、判別式が定義でき、同様のことが証明できることがわかった.超曲面については論文を投稿中であり,完全交叉については論文を準備中である. 5月には、東京大学玉原国際セミナーハウスで数論幾何の若手研究者を集めて、分岐理論を主題とした研究集会を行った。9月には、フランス高等科学研究所に滞在し上記の超曲面の判別式について研究を進めた。さらにリュミニ国際数学研究センターで行われた数論幾何の研究集会に参加し、第2Stiefel-Whitney類についての研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の超曲面の判別式についての研究成果は、本研究開始当初には予期していなかった成果である。また、完全交叉への一般化はさらに予想以上のものである。Deligneによる特性サイクルの定義が、logつきではなくlogなし分岐群の次数商の指標との関係の認識にいたったことも今後の研究の発展にむけて重要である。これの証明の詳細の検討を慎重に進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
24年度には、分岐理論についての国際研究集会の開催を予定しているので、まずその準備を進める。22年度に完成させ投稿したl進Riemann-Roch公式を証明する加藤氏との共著論文について査読者からの報告をうけたので、これにしたがって改訂を並行して進める。 さらに引き続いて、分岐理論の研究を進める。具体的にはlogなし分岐群の次数商の指標群から微分形式の空間への単射の構成の証明の細部を確認し、完了次第論文の作成を始める。さらに時間が許せば、完全交叉の判別式とその行列式への応用についての論文を完成させる。
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