研究課題
基盤研究(A)
極小モデル理論は最近になって大きく発展を遂げたが、最後に残された大問題がいわゆるアバンダンス予想である。与えられた代数多様体の対に対して、もしも対数的標準因子が擬有効ならば実は有効になり、さらにもしも数値的小平次元が正であるならば実は小平次元も正になるという予想である。一般の因子に対しては数値的小平次元と小平次元は異なり、擬有効であっても有効ではないような因子がいくらでもある。この予想は代数多様体の幾何学において対数的標準因子が重要な役割を担っている理由の一つであると考えられる。一般型の代数多様体は極小モデルを持つことがBirkar・Cascini・Hacon・McKernanによってすでに証明されている。そして一般型の極小モデル上の対数的標準因子は半豊富になることが研究代表者によってすでに証明されている。もしもアバンダンス予想が正しければ任意の代数多様体が極小モデルを持ち、さらに極小モデル上の相対的標準因子が半豊富になることが知られている。今年度の研究では、対数的標準因子はもしも有効因子と数値的に同値ならば実際に有効であるということを示した。すなわち、アバンダンス予想の弱型から本来のアバンダンス予想が従うことを示した。特に、数値的小平次元が0であるような対数的代数多様体に対してはアバンダンス定理が成立することを示した。これは中山、Campana、Peternell、Siuの先行研究を一般化したものである。証明ではSimpsonによる階数1の局所系の理論が使われた。
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http://faculty.ms.u-tokyo.ac.jp/~kawamata_lab/