研究課題/領域番号 |
22244003
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森脇 淳 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70191062)
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研究分担者 |
向井 茂 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (80115641)
中島 啓 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00201666)
並河 良典 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80228080)
吉川 謙一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20242810)
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10315971)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | モジュライ空間 / 算術多様体 / アラケロフ幾何 / 双有理幾何 / 解析的捩率 / 導来圏 |
研究概要 |
昨年度と引き続き,六つの研究群(1,ベクトル束のモジュライ空間の研究,2.アラケロフ幾何の研究,3.モジュライ空間から定まる不変量の研究,4.導来圏と双有理幾何の研究,5.解析的捩率の研究,6.モジュライ空間と複素幾何の研究)はバランスよく,順調に研究が進んでいる.それぞれの群の研究成果は以下の通りである。 1.有限Mathieu型作用の分類に関する研究には幾つかの極大群が現れる.これらの作用するEnriques曲面の定義式を具体的に書くことを試みた。2.算術的因子に対して得られている基本定理(算術的体積関数の連続性,算術的一般ホッジ指数定理,算術的藤田の近似定理,算術的ザリスキ分解等)をアデリック因子に拡張した。3.箙多様体の同変ホモロジー群上には、Yangianの表現の構造の余積の幾何学的な構成を与えたMaulik-Okounkovの結果を偏屈層の枠組みの中で定式化した。4.アファイン空間の中で斉次多項式の完全交差としてあらわされる特異アファインシンプレクティック多様体は、べき零多様体になることを証明した。5.Enriques曲面の5次元射影空間の(2,2,2)型完全交叉表示を用いて, Borcherds Φ-関数の値をEnriques曲面の周期積分と定義方程式系の終結式として表示した。6.調和バンドルの理論を応用することで、M. GuestとC. S. Linによって研究されていた2次元戸田格子の実数値解の分類を行なった。 以上の研究成果を結びつけるために,「Paris-Barcelona-Kyoto seminar on Arakelov geometry」という国際研究集会を2012年9月18日から21日に開催し,関連分野の多くの外国人研究者を招聘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれの分野の研究担当者は,その分野における世界的パイオニアであり,当該分野の最新の話題を取り入れ新しい数学の地平線を開拓している.また,多くの国際研究集会,または,著名な学術誌でその成果を発表しており,順調に研究が進んでいるといえる.さらに,海外で開催される研究集会以外に,本科学研究費を用いて,6つの研究群にまたがる国際研究集会を2回開催しており,そこで得た知見は日本に留まらず世界的に広まっているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き現在のペースで研究を続行して行けば,本研究課題の終了時には大きな成果があがると期待できる.問題点を挙げるとするとやや拡散している6つの研究群を如何に一つにまとめるかである.この点については毎週金曜日に最近の成果を発表するセミナーを行っているがこれをさらに充実していきたい.さらに,研究集会も開催していきたいと思う.
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