研究課題/領域番号 |
22244008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平地 健吾 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (60218790)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ケーラー多様体 / 放物型幾何 / 値分布論 / アインシュタイン計量 / 特異点 / 連接層 |
研究概要 |
研究集会:7月に開催した多変数関数論葉山シンポジウムでは海外からの招聘研究者9名を含む16名の講演者を迎え,国際的な研究交流を行った.その後引き続き,東京大学において複素幾何に関するワークショップを開催した.8月には山形大学において研究集会「特異点と多様体の幾何学」を開催した.また函数論の相互理解を図るために11月に金沢大学において函数論シンポジウム,12月に東北大学において多変数函数論冬セミナーを開催した. 研究の進展状況:平地健吾はCR多様体上にQ-prime曲率と呼ばれる新しい不変量を導入しその変分を考察した.山口佳三は2階偏微分方程式系を接触幾何の同値問題としてとらえ放物型幾何学へ還元する理論を完成させた.野口潤次郎は準アーベル多様体への整正則曲線に対してえられた第二基本定理の応用を研究した.山ノ井克俊はアルバネーゼ次元最大かつ一般型な複素射影代数多様体内の曲線をNevanlinna理論を用いて研究した.伊師英之は等質ケーラー多様体の小平写像がリー群の一般化最高ウェイトユニタリ表現と対応していることを発見した.辻元は射影代数多様体上でのケーラー・リッチ流の研究を継続した.満渕俊樹はDonaldson-二木不変量をテスト配位のコンパクト化にまで拡張した.大沢健夫はレビ平坦面の研究を続行し、法線束の正値性に関するブルネラの結果を半正値性に関する結果へと拡張した.高山茂晴は捻れのない連接層の局所的な豊富性の判定法を特異エルミート計量の曲率の正値性によって与えた.本多宣博は2次元巡回商特異点上で定義されるトーラス作用で不変なスカラー平坦ケーラー計量の変形を研究した.吉川謙一はEnriques曲面の完全交叉表示を用いてBorcherds Φ-関数の代数的表示を得た. 奥間智弘はブリスコーン型完全交叉特異点の極大イデアルサイクル等の解析的な対象を具体的に求める公式を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究集会の運営の世代交代は順調に進んでいる.葉山シンポジウムの代表者を山ノ井克彦,特異点研究集会の代表者を奥間智弘が務めた.連携研究者の研究の進展については随時,東京大学での月曜セミナー等で情報交換が行われている.代表者および連携研究者による海外での招待講演の多さが研究の世界的な注目度を示している.
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今後の研究の推進方策 |
若手研究者を中心として葉山シンポジウムを開催する.またシンポジウムに引き続きテーマを絞ったワークショップを開催する.東京大学で毎週開催するセミナーの世話人を学位取得直後の研究員に依頼し,より若い世代の研究グループへの参加を促す.
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