研究分担者 |
小川 卓克 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20224107)
池田 榮雄 富山大学, 大学院・理工学研究部, 教授 (60115128)
長澤 壯之 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70202223)
柳田 英二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80174548)
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研究概要 |
本研究は反応拡散方程式系が生成するパターンの分類と,曲線や曲面の曲げエネルギー解放による変形に関する系統的な知見を確立することを目指して行うものである.発生生物学の形態形成モデルとして約40年前に提唱された活性因子-抑制因子系は典型的な反応拡散系であり,研究の蓄積も多い.まず,この方程式系を反応力学の大域構造をより詳細に調べ,複数の平衡解がある場合に,安定多様体,不安定多様体の構造が分かった(高木).拡散方程式と常微分方程式の連立方程式で記述される新しいタイプの数理モデルを提唱したHeidelberg大学のAnna Marciniak-Czochra博士を招き,ワークショップ"Modeling,Simulations and Analysis of Biological Pattern Formation"を開催し,本研究の分担者,連携研究者と情報を共有した. 通常生命現象は不均一な環境で起り,非一様な媒体中のパターン形成は重要である.池田は,進行波解と空間の不均一性との相互作用を縮約系を導出して考察し,中島は,多次元領域での定常パターンの構造を調べた,小川は,非線型拡散方程式の解法において基礎的な役割を果たす最大正則性原理をBesov空間で確立し,臨界状況の解明に道を開いた.曲線の変形の問題に取組んだ長澤は,平面閉曲線に対し,複数の制約条件下での曲率積分の勾配流の解の存在と一意性を考察し,線型化作用素のスペクトルの構造を明らかにした.岡部は,非閉曲線に対し,短縮化-平坦化流の解の存在を示した.柳田は単独半線型拡散方程式の動的特異点をもつ解の漸近挙動を考察し,収束率が異なる二種類の特異解に分類されることを証明した.シミュレーション担当の上山は,自己組織化機構を利用したメッシュ生成手法を開発した.また,山田は空間グラフの全曲率を定義し,それにより空間グラフの位相的な特徴付けを与えた.
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