研究概要 |
今年度は、4年間にわたる研究の2年目である。本研究は、地上最良の天体観測サイトと期待される、南極昭和基地から1000km内陸の標高3810mのドームふじに1.2mの望遠鏡を設置してくサブミリ波観測により、天の川の星間ダストの姿を観測的描き出すことを目的としている。2年目の大きな目標は高感度の冷却受信機の開発であった。南極での厳しい電力事情を考慮すると、小さい消費電力で感度の高い冷却受信機を実現することを目標に設定した。多層膜輻射シールドの拡充、熱アンカーの増設等を行い、4Kステージの冷却能力が0.1Wという小型軽量の冷凍機を用いながら、受信機雑音として200K以下の実現の目処がたった。また、冬期には-80。という極低温に達する環境下でのアンテナの開発を進めた。保温のためには、レドームを用いた方が簡単であるが、南極においては、レドーム内の暖房に要する電力と費用、サブミリ波で用いる場合にはレドームでの反射が観測に影響を及ぼすために、レドームを用いること無い保温策を検討した。比較的容易に入手可能な断熱材と、ヒータを用いることで、南極冬季でも、望遠鏡の駆動が実現できる見通しを得た。また、極低温下では、望遠鏡のケーブルの硬化が問題となるが、テフロン素材のケーブルを用いれば、硬化の程度が低いため、南極の低温下でも使用可能な見通しを得た。南極での観測に先立つ試験サイトの開拓も進めた。現在、サイト候補として、チリ北部の砂漠地帯のパリナコッタ村で30cm望遠鏡を用いた調査を行い,良好な結果を得ている。しかしながら、1,2m鏡運用には電力の不足が懸念されるためにぐチリ大学の協力を得て、新たな観測候補地の調査を進め、チリ北部のサンペドロアタカマを拠点とした第2候補地を選定した。
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