研究課題/領域番号 |
22244013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
一本 潔 京都大学, 理学研究科, 教授 (70193456)
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研究分担者 |
柴田 一成 京都大学, 理学研究科, 教授 (70144178)
北井 礼三郎 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40169850)
上野 悟 京都大学, 理学研究科, 助教 (70303807)
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キーワード | 太陽 / 磁場 / プラズマ / 偏光 / スペクトル / 補償光学装置 |
研究概要 |
本研究の目的は、分光スペクトルの偏光情報を用いた新しいプラズマ診断手法を太陽観測に適用し、太陽に生起する活動現象の磁場・電場・非熱的粒子速度場など、プラズマのより多面的な物理量を観測的に求めることで、太陽活動現象を駆動するメカニズムを解明することである。そのため京都大学飛騨天文台のドームレス太陽望遠鏡に、可視から近赤外域にわたって高解像・高精度偏光スペクトルの取得を可能にする広帯域スペクトロポラリメータを整備する。平成22年度の当初予定は、1)補償光学装置の製作・調整、2)広帯域偏光解析装置の製作および望遠鏡機械偏光の較正、3)偏光によるプラズマ分光診断手法の基礎研究、である。 1)については補償光学装置の主要部品である可変形状鏡の制御装置、軸外し放物面鏡、システムを設置する光学定盤を製作し、ミラー保持機構の製作を待って組み立て調整を開始する状況にある。 2)についてはすべて完了し、ドームレス太陽望遠鏡の偏光モデルによってスペクトルデータの偏光校正が可能となった。HeI 10830Aによる黒点の試験観測をおこない、黒点で発生する磁気流体波動の解析を始めている。 3)についてはプラズマ実験室の研究者らを飛騨天文台に招聘し、偏光プラズマ分光に関するワークショップを開催、偏光分光による様々なプラズマ診断の可能性について討議した。また、非熱的平衡大気におけるスペクトル線形成コードの開発に着手した。 これらの準備により、種々のスペクトル線による多面的な偏光分光観測を推進する準備が整いつつある。 またより高精度な偏光観測を可能とする補償光学装置の完成にむけて大きく前進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
偏光解析装置が完成、及びドームレス太陽望遠鏡の偏光校正が完了し、良好な偏光スペクトルの取得が可能となった。補償光学装置については主要な光学素子の製作がすべて完了した。
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今後の研究の推進方策 |
計画に大きな変更はない。次年度はほぼ予定通りに、 1)補償光学装置のセットアップと評価、および偏光測定の高精度化、 2)本年度得られたHeI10830Aの偏光スペクトルを用いた黒点に励起される滋気流体波動の研究、 3)種々のスペクトル線による多面的な偏光分光観測、 4)偏光分光によるプラズマ診断手法の基礎研究、及びスペクトル線形性コードの開発、 を推進していく。
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