研究分担者 |
中村 宜文 独立行政法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 研究員 (40598231)
石川 健一 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60334041)
武田 真滋 金沢大学, 数物科学系, 助教 (60577881)
石塚 成人 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70251030)
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研究概要 |
本研究課題は4項目に大別される. (i)クォークとハドロン:電磁相互作用とu-dクォーク質量差を取り入れた1+1+1フレーバー格子QCD+QEDシミュレーションによるu,d,sクォークの質量計算において, 解析を終了させ論文を取り纏めた. 既に学術雑誌に掲載済である. (ii)共鳴状態と新粒子:これまでのρ(770)中間子共鳴状態のエネルギー値と崩壊幅の計算はすべて現実世界よりも重いクォーク質量で行われている. 我々は物理点(現実のクォーク質量)での直接計算を目指し, そのための準備研究を行った. (iii)原子核構造:平成23年度は2+1フレーバーQCDにおいてm_π=510MeV相当の重いクォーク質量を用いてヘリウム原子核と重陽子が束縛することを確認した. 平成24年度は, クォーク質量をm_π=300MeV程度まで軽くし, 束縛エネルギーのクォーク質量依存性を調べている. 今後更にクォーク質量を軽くして現実の値(m_π=135MeV)に近づけていくことを目指している. (iv)有限温度・有限密度QCD:近年我々が提案した有限密度QCDにおいて複素位相をコントロールするための新たな方法をもとに, 4フレーバーQCDに対して有限サイズスケーリング解析を行った. 4フレーバーQCDはあるクォーク質量領域において一次相転移を起こすことが期待されているが, 我々の有限サイズスケーリング解析の結果も一次相転移を示している. これは世界で初めての有限密度QCDに対する有限サイズスケーリング解析の応用であり, その有効性を実証出来た意義は大きい. 現在結果を論文に取り纏めている.
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