研究課題/領域番号 |
22244021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳田 勉 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (10125677)
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研究分担者 |
松本 重貴 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任准教授 (00451625)
浅井 祥仁 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60282505)
久野 純治 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60300670)
諸井 健夫 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60322997)
濱口 幸一 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80431899)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | LHC / 初期宇宙 / 標準模型を超える素粒子物理 |
研究概要 |
2012年、ついにLHC実験によってヒッグス粒子が発見された。素粒子標準模型を超える物理に関する実験的検証に関しても次々と新たな結果が得られている。また2012年度末に発表されたPlanck衛星による宇宙背景輻射の温度ゆらぎの精密測定によって、インフレーションを含む標準宇宙論がますます詳細に検証されるようになって来ている。 諸井は、超対称化された Peccei-Quinn 模型に基づく宇宙論についての研究を行った。特に axion 粒子の超対称パートナーであるsaxion 粒子は、宇宙進化に様々な影響を与える。本研究ではまず、saxion の運動が宇宙初期の熱浴からどのような影響を受けるかについて一般的な議論を行い、saxion のポテンシャルや減衰率についての議論を行った。さらにその結果を用いて、超対称化された Peccei-Quinn 模型に対する制限を求めた。 久野は、超対称SU(5)大統一模型における陽子崩壊を研究し、中間スケールに新たな物質場が導入される場合Xボゾンによる陽子崩壊の確率が大きくなることを示した。超対称性の破れが電弱スケールより大きい場合、winoまたはhiggsino的なニュートラリーノは暗黒物質の候補である。暗黒物質直接探索に関わる核子・ニュートラリーノの弾性散乱断面積を、上記の場合に着目し、ループ効果も含め信頼性の高い評価を行った。 松本はリトルヒッグス模型等の複合ヒッグス模型において予言されるトップ・パートナー粒子のLHCシグナルについて詳しく調べた。また模型に依存しない手法を用いて、LHCにおける暗黒物質生成過程についても詳細な研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者および研究分担者は、新たな素粒子模型の構築やそのLHC実験での検証、さらには素粒子論的宇宙論の諸問題について、多くの重要な研究を行ってきた。また研究分担者である浅井は実際にLHC実験に参加している実験家であり、ヒッグス粒子の発見や標準模型を超えた素粒子物理を切り拓く研究で主導的な役割を果たしている。 本研究は、LHC実験の本格的な始動とほぼほ同時にスタートし、以上の研究者が有機的に連絡を取りつつ研究を推進することで、新たな素粒子模型・宇宙像を構築することを目的としている。 現在まで、研究代表者、研究分担者、みな研究計画通りに順調に研究を進めており、査読付論文を数多く発表し、国内外の研究会で成果発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
LHCは、2012年末に7TeVと8TeVでの陽子・陽子衝突実験を完了した。現在、収集された全積分ルミノシティーでの解析が行われており、2013年度前半から夏にかけてその全容が明らかになってくると考えられる。本研究では昨年度に引き続き、LHCの結果を基に新たな素粒子模型と宇宙像の構築を行うこととなる。以下に具体的なテーマのうちいくつかをあげる。 (1) LHC実験に基づく素粒子模型の探索:ヒッグス粒子の発見は標準模型を超える物理を考える上で非常に大きなインパクトを与えた。特に超対称理論において、発見されたヒッグス粒子の質量(~126GeV)は極めて重要なインプットであり。模型を強く制限している。一方今年度は、超対称性粒子探索や他の新粒子探索に関しても、7TeV~8TeV陽子衝突での全積分ルミノシティーの解析結果が明らかになってくると期待される。昨年に引き続き、これらの結果に基づく素粒子模型の探索を行う。 (2) LHC実験に基づく宇宙像の構築:暗黒物質・バリオン生成・インフレーション:上記(1)の研究を基に新たな宇宙像の構築を目指す。LHCでの新粒子探索、宇宙線観測や直接検出実験などの暗黒物質探索、Planck衛星による宇宙背景輻射の温度ゆらぎの精密測定、などの実験・観測結果に基づき、暗黒物質生成のシナリオ、バリオン生成シナリオ、さらにはインフレーション模型と合わせて矛盾のない初期宇宙シナリオを構築する。 (3) LHC実験における新たな解析手法の提案:2015年よりLHCでの陽子・陽子衝突エネルギーは13~14TeVに倍増され、超対称性粒子などの新粒子探索やヒッグス粒子の性質に関する研究において大きな進展があると期待されている。上記(1)で得られた新たな素粒子模型の研究を基に、今後のLHC実験においても有用な新たな解析手法の提案を目指す。
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